第28話 悲しみの違いが分かる少女
「私がガパオ流ムエタイの正統継承者! 一子相伝にして最強のアハ殺拳! 世紀末アハ救世主! タイキック侍少女、真理亜! ガパオの掟は私が守る! アハッ!」
「こんな姉でごめんなさい。」
真理亜、お友達70億人キャンペーン実施中!
「次は田端村でござる。」
「ござる、ござる。そうでござる。」
真理亜と楓の大神姉妹は次の目的地まで、野盗や陸にあがった海賊と戦いながらレベルアップしながら、途中のお茶屋さんでお茶と団子食べて回復しながら山の手街道一周の武者修行の旅をしている。
「師匠! おバカ師匠!」
「こらー! 誰がおバカ師匠だ!?」
そこに弟子のジョージを加わった。
「みんなでお散歩、楽しいな。」
そこに真理亜の永遠のお隣さん、魔法少女アリアが加わった。
「コーヒーがおいしい。」
「何をやっているの?」
「コーヒーを飲んでいるの。アリアちゃんも飲む。」
「そもそも時代劇にコーヒーがあるのかい?」
「アハッ!」
笑って誤魔化す真理亜。
「私は違いの分かる少女よ。」
「違い?」
「ダバダ、ダバダ、ダバダ~よ。」
「それは田端、田端、田端~よ。お姉ちゃん、少しズレてるよ!」
「アハッ!」
ダバダと田端の違いを妹の楓に注意される姉の真理亜。
「最初の掴みとして、その土地で面白いことを考えるのがいいわね。この流れで行きましょう。」
「まるで所さんの笑ってこらえての村人の旅みたいだな。」
「ふっふっふ。これはパクリではない。リスペクトだよ。リスペクト。」
「リスペクトがダメなら、オマージュというつもりでしょ?」
「アハッ!」
真理亜は絶好調。
「こらー! 田端にも何にもないぞー!」
本当に田端も何も無かった。
「そうか! 何も無い。何も無いんだ! 土地に何もないなから、キャラクターやアイテムで補う! ということは、土地の名前などはお飾りでしかないのだ!」
田端ダンジョン。田端の塔。田端の洞窟。田端の海。田端の山。田端の田んぼ。田端の川。田端のバハムート。田端の核爆弾製造工場。田端の魔法。田端少女。田端の不老不死の薬。田端ボール。
「はあはあはあ・・・・・・疲れた。」
「それだけ可能性を上げれば疲弊するでしょう。」
「アハッ!」
疲れても笑っていれば何とかできる。いくぞ! 1! 2! 3! アハッ!
「果たして田端に何があるというのだ!?」
「何もない。さっきから何度も言っているだろうが。」
「アハッ!」
だからダバダ、田端なのだ。
「そうだな。田端を妖怪スライムの里にしよう。」
「お姉ちゃんの突然の思いつきに良かったことがない。」
「アハッ!」
この物語はフィクションである。
「悪代官シリーズも飽きてきた。新しく妖怪・妖を実装しよう。」
「そんなに都合よく物語になるかしら?」
「大丈夫! 人食い妖怪スライム少女に食べらる田端少女!」
「どこかで見たような?」
まさに進撃の巨人!
「そして妖怪スライム少女に食べられた村人たちは妖怪スライム少女にされてしまうのだ!」
「妹が鬼にされちゃう話も聞いたような?」
まさに鬼滅の刃!
「良くある話よ。気にしない。気にしない。アハッ!」
ヴァンパイア少女、キョンシー少女、ゾンビ少女も類似品。
「なんてグロテスクな展開! この悲劇がインパクト!」
全ての物語には犠牲は付き物である。
「スライムの里になった田端村を私が颯爽と現れてスライムを倒し、田端村に平和を取り戻させるというゴールデン・ストーリー! まさに世紀末アハ救世主伝説!」
「自画自賛の荒しだわ。」
「アハッ!」
会場の座布団が飛びまくるのであった。
「何かが生まれそうで、何かが生まれない!? もう少しで脳裏に生まれる新しい発想の点と点が一本の線に繋がりそうなんだが・・・・・・。」
「ミステリー小説かい?」
「アハッ!」
編集さんは言った。
「残酷な不幸にしないと第一話でインパクトが取れませんよ。アハッ!」
イマドキの編集さんって・・・・・・。
「助けてください!」
そこに第一田端村人少女が現れた。
「なんでありんす?」
「実は・・・・・・悪代官が目立たないのをいいことに、村人から高い年貢を取り立ててくるんです。」
悲しみの田端少女の悲劇的伝説であった。
「悪代官をぶっ飛ばすぞー!」
「ありがとうございます! 救世主! 真理亜様!」
真理亜たちは代官所に向かう。
「頼もう!」
お約束のスタイルで代官所に乗り込む。
「何者だ!?」
「問答無用! ガパオ流奥義! トムヤムクン!」
「サイキック刀! 楓流奥義! 500連撃!」
「魔法刀! 魔法奥義! 魔法斬り!」
「ガパオ流二刀流奥義! トムクルーズ! トムハンクス!」
次々と田端の悪代官に必殺技を放り込む真理亜たち。
「ギャアアアアアアー!? やられた!?」
倒された悪代官。
「ちょっと待てい! 勝手に死んでいいのか? そこで倒れる前に止めろよ! 毎回のお約束だろ!?」
「いや。これからの敵は妖怪になるから、もう悪代官はどうでもいいんだ。」
「そんなアホな!?」
「アハッ!」
ルールが変更された。
「テイク2。3、2、アクション!」
「飯を食ったか? 歯を磨けよ! また来週! バタッ。」
「10点。早く寝てくれ。アハッ!」
悪代官の最後の挨拶である。
「田端村! 獲ったぞ! アハッ!」
真理亜の救世主伝説は続く。
つづく。
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