第44話


「アクドーイ公爵令嬢アリア様。アンナ様をなぜそんなに邪険になさるのですか?」


いじめに対する対処がどうしても後手にまわってしまうので、直接アクドーイ公爵令嬢に尋ねてみることにした。

もちろん、一人じゃない。

本日はクロロ様とヤン様が一緒だ。


猫だから頼りにならないって?

そんなことはない、猫様は英雄なのです!


「あら?そんなことを聞きにわざわざ一人できたの?」


「一人ではありません。クロロ様とヤン様が一緒におります!」


「ふふっ。アルメディア様は取り巻きがおりませんものね。猫なんか連れて寂しいお方」


「寂しくなんかございませんわ。こんな素敵な猫様たちについてきてもらっているのですもの」


そういうアクドーイ令嬢だって、今は一人だ。

もちろん、一人になる瞬間を見計らって来たんだけど。


クロロ様とヤン様はバカにされているということがわかったのか、アクドーイ公爵令嬢に敵意むき出しの状態で、尻尾をピンっと立て大きくふくらませて、ずっと威嚇している。


・・・威嚇する姿も可愛い。


っと、猫様の可愛さに意識が飛んでしまった。


「教えてください。なぜ、アンナ様に必要以上に絡むのかしら?」


「決まっているじゃない。男爵令嬢ごときで、私の婚約者のアレキサンドライト様に近づくからですわ」


「えぇっ?」


私は一応アレキサンドライト様の婚約者候補だ。

アレキサンドライト様の婚約者の座は私が一番優勢だったはずなんだけど、いつの間に婚約者がきまっていたのだろうか。

それに、最近ヒロインちゃんは昔みたいにアレキサンドライト様に不用意に近づいたりしていない。

必要な時だけだし。

むしろ私の方がアレキサンドライト様とお話する機会は多い。

私にアクドーイ公爵令嬢からの敵意が向くというのならわかるが、なぜヒロインちゃんに・・・?


「アンナ嬢は最近アレキサンドライト様には近づいていないと思いますが?」


「・・・そうなの?でも、私は取り巻きから聞きましたわ。毎夜のごとくあの女がアレキサンドライト様の部屋にいるって!男爵令嬢ごときがこの私を差し置いて!!」


「・・・そうなの?」ってところで、思いっきり目を見開いたアクドーイ公爵令嬢。

なんか、ちょっと呆けた感じの猫みたいで可愛かった。


って、そうじゃない。

アンナ嬢が毎夜アレキサンドライト様の部屋にいかれている?

・・・どういうこと?

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