第43話
次の日からヒロインちゃんに対する嫌がらせがはじまった。
まるで、乙女ゲームの中で私がおこなっていたような嫌がらせをヒロインちゃんは今現在受けている。
ヒロインちゃんは「負けないんだからっ!」と言いながら日々を過ごしているが、疲労の色は隠しきれていない。
「私がなんとかしますわ」
と、言ったが、
「大丈夫。アルメディア嬢はなにもしないで。これは私の問題なんだから」
と、拒絶されてしまった。
だから手は出せないけれど、裏から手を貸すくらいだったらいいよね?
と自分に言い聞かせた。
私はこそこそとヒロインちゃんを虐めている首謀者のアクドーイ令嬢の姿を録画することにした。
録画と言ってもデジカメやスマホでの録画ではなく、魔法での録画だ。
これが出来るのはごく一部しかいないそうだから誰も私が録画しているだなんて思わないだろう。
そうして私はいそいそと証拠集めに奔走する。
アクドーイ公爵令嬢が言い逃れできないように。
「また・・・か」
私はヒロインちゃんが登校してくる前に、ヒロインちゃんの下駄箱を確認する。
また、ヒロインちゃんの上履きはなかった。
最近毎日のように、ヒロインちゃんの上履きがなくなっている。
そのことをヒロインちゃんより先に気づいた私は、ヒロインちゃんが登校してくる前に、上履きを回収し、ヒロインちゃんの下駄箱にこっそり戻すということがここ一週間ほどの日課になっている。
今日も無くなっていたので、フィラー様とヤン様の力を借りて探している。
フィラー様は何故か猫様なのに犬のように嗅覚が働くようで、臭いで探してくる。
ヤン様はヒロインちゃんに対する五感が働くのか、しばらくポーッと虚空を見つめた後に急にダッシュをし、ヒロインちゃんの上履きを見つけてくる。
とてもよく働いてくれる猫様たちだ。
フィラー様はガウディ様に由来する猫様とあって、一直線で脳筋な感じだ。どちらかというと犬っぽい一面がある。
ヤン様はヤンデレ幼馴染みのルークに由来する猫様だけあって、ことヒロインちゃんに関することには勘が働くようだ。
この二匹の協力もあって、ヒロインちゃんの上履きは今のところ死守している。
けれど、他の虐めに対してはヒロインちゃんが気づいた後の対処しかできていない。
なんとかしなければ・・・。
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