第27話


「わからないわ。ナギ様がどんな隠しキャラの猫なのか。そうぞうもつかない。だって私はナギ様にもゲームの中では遭遇しなかったのよ。アルメディアは何か思い当たるところないの?」




ヒロインちゃんに心当たりはないか。


そもそもナギ様に会ってもいないんだから、当たり前かぁ。




私は必死に前世の乙女ゲームの内容を思い浮かべる。




・・・ダメだ。猫様たちの姿しか思い出せない。




ふるふると首を横に振り、ヒロインちゃんにわからないと伝える。




「ごめん。ぜんっぜんわかんない。あのゲーム、猫が可愛かったから買ったんだし、ストーリーも実はほとんど覚えていないの。猫様たちのことしか覚えてないの・・・」




「はぁ・・・」




そう言ったら、ヒロインちゃんが大きなため息を一つついた。どうも、呆れられているらしい。


ごめんねぇ。とヒロインちゃんに向けて頭を下げる。




「思い出してよ、アルメディア嬢」




「そうよ、思い出して!・・・っえ?」


「え?」




前世の乙女ゲームの会話をしていると突然、私たちの会話に割り込んできた声がした。


ぎぎぎっと声のした方を振り向くと、そこにはアレキサンドライト様がいた。




「まったく全然思い出さないんだもんねぇ。アルメディア嬢?僕のことわからないの?」




「えぇ?」




「知り合いなの?どういうこと?」




アレキサンドライト様の台詞に同様を隠せない。


アレキサンドライト様は前世の私を知っているの?どういうこと?


疑問符ばかりが頭に浮かぶ。




混乱の極みに達している私の髪を一筋とって、そっと口づけを落とすアレキサンドライト様。




「スチルだわ。これ」




それを見て、ヒロインちゃんが項垂れている。


確かに、こんな場面がゲームにあったような気がする。


って、また私がヒロインで話が進んでるっ!!




「ゲームのアレキサンドライト様もこんな台詞だっけ?」




「こら、アルメディア嬢。こういう場面では僕に酔ってくれなきゃ?」




耳元で囁かれたっ!!




「こんな意味深な会話じゃなかったわよ。確か『アルメディア嬢。君はティーガをとても愛しているようだね。その愛のほんの一欠片でもいいから僕にくれないかな?』って台詞よ!!」

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