第24話

腕の中で大人しくしているナギ様。


ときおり私の顔を見つめてくる赤い瞳が可愛い。


このまま連れ去りたくなるほどだ。




「ナギ様はこのまま私と一緒にいてくれるの?」




「にゃあ」




話しかけると嬉しそうに返事をする。


どうやら一緒にいてくれるようだ。




可愛いなぁ。




白くて素敵な尻尾はゆらゆらとご機嫌にゆれている。


ナギ様を抱き締めながら教室に向かう。


その間もナギ様は大人しく腕の中におさまっていた。


それにしても、今日はナギ様以外の猫様に会わない。


いつもだったら、ひょっこりティーガ様やクロロ様やフィラー様やギュリン様やヤン様が現れて、すりすりしてくれるのに。




あ、フィラー様っていうのは攻略対象のガウディの猫様。真っ赤に燃えるようなオレンジ色の勇敢な猫様だ。


ギュリン様はダージキール先生の猫様。淡い灰色のおっとりとした猫様だ。


ヤン様は件のヒロインちゃんの幼馴染みのルーク様の猫様。少々ふてぶてしい三毛猫様だ。




どの猫様も可愛くて仕方がない。


攻略対象の猫様だったとしても、かわいい猫様に罪はない。


だからめいいっぱい可愛がっている。


それもあってか、ずいぶんと仲良くなったと思う。


授業中はどこかいなくなってしまうが、休み時間の度に5匹がやってきて私の膝の上を取り合う姿がまた可愛くて仕方がない。


のだが、ナギ様が来てからは見ていないから少し心配になる。まあ、賢い猫様たちだから大丈夫だとは思うけれども。




ナギ様を抱いたまま、教室に戻り自席に座る。もちろんナギ様は膝の上だ。


膝の上で目を細めて毛繕いをしている。


どうやらリラックスしているようだ。


ナギ様をなでなでしていると、ダージキール先生が教室に入ってきた。


だが、その様子がいつもと違う。


どこか目線が落ち着かず耐えずキョロキョロとしている。冷や汗もでているようで心配になる。


何かあったのかしら?


でも、聞くわけにもいかずいつも通りの授業が始まる。


時々ダージキール先生が、こちらを見てはブルブルと首を振っていたのが印象的だった。


本当にいったいダージキール先生になにがあったのだろうか。


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