「レコンティーニ嬢？貴女、私より令嬢らしくなくなったわね。窓壊して、窓枠から外にでるなんて、私にした淑女教育はなんだったのかしら？」

ちっ。

ヒロインちゃんだったか。

ナギ様との至福の時間を邪魔しやがって。

「うふふ。つい。こんなにも可愛くて完璧なナギ様を見てしまったんですもの。どうして我慢ができましょうか。いいえ、我慢なんてできません！見て下さいまし！この真っ白な姿態。神々しさ。まるで神様です！」

「はいはい。って、ナギ様？この猫の名前ナギ様っていうの？よく知ってたわね。」

「例のゲームに出てきていたのよ、ナギ様。知らない？」

「私は見たことないわね。白猫なんて出てこなかったわよ。」

「スチルにも？」

「スチルにも」

ヒロインちゃんはナギ様のこと知らないのか。これは余計に、隠しキャラの猫様の予感がする。

「私、ナギ様は隠しキャラの猫様なんじゃないかと思っておりますの。隠しキャラルートには入れなかったけど、他のキャラのルートでスチルの隅っこにナギ様がこっそり写っていたんです。それに、たまぁに、極々希にナギ様が出てくる選択しがあるんですよ。だから、ナギ様が隠しキャラの猫様なんじゃないかと」

「ふぅん。そうね、その完璧な姿態といい、神々しさと愛らしさを兼ね備えている雰囲気といい、隠しキャラの猫のふさわしいかもね。って、ことは隠しキャラはでてくるのね」

「そうなるわね、近々でてくるかもしれないわ。これは心しておかないと」

「そうね」

ヒロインちゃんは、ナギ様を見たことがなかったようだが、私の仮説に頷いてくれた。

そうとも、こんなに完璧なナギ様が隠しキャラの猫様じゃないなんてあり得ないのだ。

ナギ様がモブだとは全く思えない。

それだけのオーラを感じる。

「ナギ様は人の言葉がわかる？」

うるるんとした瞳でじっと見つめてくるナギ様に問いかける。ナギ様は顔を傾げて、「にゃうん」と小さく鳴いた。

「そう、言いたくないのならいいわ」

ナギ様がなんて言いたいのか、すんなり理解してしまった。

隣でヒロインちゃんが首を傾げている。

「内緒にしていてね。ナギ様はとても優秀な猫様なのよ」

ヒロインちゃんに遠回しに伝える。

私の至福の邪魔をしたんだもの。素直に教えてなるものですかっ。

ナギ様は人の言葉がわかるらしい。

でも、それを人には知られたくないようだ。

なぜだか知らないけど、でも猫様の意思を尊重すべき。

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。（ログインが必要です）

新規登録で充実の読書を

マイページ: 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる; 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める; フォローしたユーザーの活動を追える
通知: 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴: 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい