生が二人を分かつ間に

硝子の海底

 日本では1日に3271人の人がその鼓動を止めている。

 調べたくはないけれど、世界中ならきっと、この比にもならない数が弾き出されるだろう。


 そう考えたら、自分の周りで誰かが死ぬくらい珍しいことでもないし、いちいち悲しんでいたら涙も枯れてしまうはずだ。



 それなのに、人は他人の死を悼む。馬鹿馬鹿しい。

 そうして悲しみがすり減らした心は、どれだけ時間が経ったって、元に戻りはしないのに。




 とまぁ、これが私の持論だった。


 もし私の同じ考えを持つ人がいたら、私を指さして笑って欲しい。




 私は今、生まれて初めて大切な人を失った。

 馬鹿みたいに泣いて、心をすり減らしながら、愛しい人を想っている。



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