何故か若殿に、で、どうしろと?

キャットウォーク

何故か若殿に

第1話 夢

 ある日の事だった。


 ベットの上で寝る前に本を読んでいると、いつも通り小一時間ほどで眠くなってきた。


 そろそろ寝ようか・・・・


 本を置き、ベットの照明を落とし目を瞑る。瞼に映る穏やかな暗さを感じていると心地よい睡魔が襲ってきた。その睡魔に身を任せウトウトとしていた時だった。

瞼に映る暗い空間に、さらに暗い空間が見えた。その漆黒の空間は、暗い空間の中心にあり丸い形をしていた。


 瞼に映るその漆黒の闇を何となく見つめていると、何故かその漆黒の中に入れそうな気がしてくる。

そう思った瞬間、漆黒の闇がうずを巻き始めた。不思議な夢だと思いながら渦を見ていた。


 だが、気がつくと何時の間にか渦の濁流の中に放りだされていた。

渦は途轍とてつもなく大きく中心に向い傾斜をしており、遙か向こうに見える中心部分にドス黒い大きなあぎとが口を開け待ち構えている。そして、そこに浮き沈みしながら吸い込まれていく自分がいた。

渦の勢いは強く流れに逆らうことはできない。為す術なすすべもなく流されるしかない。

頭まで沈んでは足掻いて水面に顔を出し、飲んでしまった水を吐いては咽せた。


 苦しい!! 息ができない!

 このままでは死ぬ!


 何とか呼吸ができるよう必死に藻掻いたが、やがて意識が遠のき始め気を失ってしまった。

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