第469話 なんでみんな、僕を怖い目で見ているんだ?

 通信が終わった。


 振り返ると……え?


 なんでみんな、僕を怖い目で見ているんだ? 今の話を聞いて怒るような要素なんかあったか?


「カイトさん。今、あのきれいな人に『ぜひ来てほしい』と言いましたね」


 え? ミール……何を言っているんだ? ていうか、かなり酔っているぞ……


「おにいさん。やっぱり浮気してたね」


 レイホーいったい何を言って? 浮気って? 今の話からどうしてそうなる?


「いや、僕は確かに女性と通信していたが、内容は聞いていただろ?」

「ご主人様。今は何を言っても無駄です」


 Pちゃん。無駄って……


「皆さん、かなりお酒を飲んでいる上に、さっきまで翻訳ディバイスのスイッチを切っていました。ミールさんは片言の日本語は分かりますが、あの内容を理解するのは無理かと……」


 なぬ!? という事はみんなこっちを見ていたけど、会話の内容は理解していなかったという事か? しかも最後に僕が言った『君にもぜひ来てほしい』のところだけをミールは理解してしまったって事は……口説いていると思われた?


「ですから、通信は芽依様に任せるべきと私は言ったのですよ」

「そ……そうだ! 芽依ちゃん、みんなに事情を説明……」

「どうしまししゃ? 北村しゃん」


 うわわ!? 酔っている!?  


「レイホー! 芽依ちゃんに何飲ませた?」

「何って、スクリュードライバーね」


 オレンジジュースじゃなかったのか。


「カイトさん。きれいな女の人でしたね。いったい誰なのです?」

「まて! ミール落ち着け! 彼女は元僕の部下で……」

「指令殿。浮気はいかんな。ここは日本の伝統に乗っ取って電撃だな」


 だから、エラ! 日本にそんな伝統はない!


 ここは大人の女性に、みんなを宥めてもらうしか……とは言え、馬美鈴もカミラ・マイスキーもすでに酔いつぶれているし、唯一意識のあるアーニャに頼もう。


「アーニャさん。なんとか言ってくれ」

「北村君。浮気はいけないなあ」


 え? ダメだ。この人もかなり酔ってる。


「ミクちゃん一筋だった白龍君も、私が留守の間に楊美雨に浮気しちゃって悲しかったなあ」


 だから、浮気なんかしてないって……


「カイトさん。あたしというものがありながら……」


 誰か助けてくれ! 

 

(第十三章終了)



Pちゃん「さて、次章ではいよいよ。ベイス島攻略ですね。どんな敵が待ち構えているでしょう」

ミール「でもPちゃん。敵の目的はあたし達に勝つことではなく、どさくさに紛れてミクちゃんを拉致することですよ。敵を殲滅してもミクちゃんを拉致されたら、あたし達の負けです」

Pちゃん「大丈夫です。敵の目的さえ分かっていれば、ご主人様が悪知恵の限りを尽くして守ってくれるでしょう」



海斗「悪知恵って言うな!」

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