第2話放課後の屋上

コツコツと鳴り響く階段の音、時刻はただいま放課後で夕焼けが見えていた。そう僕、朝霧春あさぎりはるは今学校の屋上できれいな夕陽を見ながらフェンスを背にして座っていた。階段の音が鳴り響いていた、

多分あいつが来たんだろう。そう思いながら扉のほうに顔を向けると、バッタンと勢いよく扉が開いた。

「お、ハルくんっみっけ」やっぱリここにいたのかといわんばかりの顔で少女が入ってきた。「なんだ、

紗耶香か」そうこいつは幼馴染の崎原紗耶香さきはらさやかだ。紗耶香はショートカットの黒くきれいな髪で、顔は、輪郭もきれいに出ていて、まとめると美少女高校二年生だ。そして僕も青春真っただ中の高校二年生だ。「なんだ、紗耶香か、じゃなくてどうしてハルくんここにいるの?」首を傾げてそんなことを聞いてくる紗耶香。この反応は至極当然で、このいまいる屋上は普段めったに誰も訪れる人がいないからだ。べつに幽霊が出るだとか、立ち入り禁止だとかそういった理由ではない。理由は単純、ここに来るのが面倒だからだ。なぜならば、学校は4階建ての校舎で、1階

から4階までの階段はつながっていて、普段は1階は3年生、2階は1年生、3階は2年生といった感じで

普段利用されている。そして4階は文化祭の看板や、道具だったりさまざまな物置と化しているのだ。

そして屋上の階段は4階の階段の反対にある。だから4階の長い廊下を歩いて反対側まで行ってようやく屋上の階段が登れるのだ。そんなこともあって紗耶香の疑問は当然なことなのだ。そんな疑問に対して僕は、

「なんとなくだよ」と言うと。紗耶香は「なんとなくでこんな場所には来ないでしょう~」と理由が聞きたいといわんばかりの顔で覗いてくる。ああ、髪が揺らいで夕焼けに彩られてきれいだなとそんなことを考えてしまう。「ねぇ、聞いてるのハルくん?」そんな呆けた顔をした僕にたいして紗耶香は言う。僕は「ああ、大丈夫だよ」。そういう僕を心配そうに紗耶香は見つめてくる。「大丈夫ならいいんだけど、ハルくんどうしているの?」ああ、そうだったな紗耶香はどうして僕がここにいるのか聞いてきたんだったな。「告白されてたんだ」そう僕は答える。もちろんウソだ。そんなことをいうと紗耶香は泣き目に「それ、本当なの?ハルくん」

と言ってきた。今にも泣きそうな紗耶香に僕は少し戸惑ってしまう。少しやりすぎたかな反省しよう。「嘘だよ紗耶香」そういう僕に疑念を持ったよう「う、嘘つかないでよね!」といってそっぽを向いてしまう紗耶香

「わ、悪かったよ、本当は小川先生に明日の授業で必要な資料を、資料室からとってくるように頼まれて、そしたら資料室を出たら屋上の階段があることに気づいてなんとなく来ただけなんだよ」と僕は紗耶香にすぐに言う。資料室は屋上の階段とともに4階の間反対に位置するのだ。「そ、それなら早く言ってよね、ハルくん」と不貞腐れたように言う紗耶香。「ご、ごめんって」と僕は紗耶香に謝る。「しょうがないなぁ~」といって紗耶香は「じゃあ、早く帰ろうよ」と言って紗耶香は屋上を出ていく。

紗耶香はしょうがないと言いつつも拗ねた感じはなくなってはいなかったと僕は思いつつも紗耶香を追いかけて屋上を出る。

後で紗耶香に聞くに紗耶香は小川先生から僕が資料室にいることを聞いていたようだ。あとは僕が資料室にいなかったのと、スマホに連絡しても出なかったので、資料室のすぐ横にある屋上の階段を上がったんじゃないかと思ったらしい。さすが僕の幼馴染だ。

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