その日常に華を、願いを 〜自殺を止めたヤツ〜
アキノリ@pokkey11.1
第1話 美帆との出会い
それはとても可憐な届かない花。
簡単に言っちまうと昔のコンティニュー出来ないゲームのダンジョンの最上階のボス戦に到達するぐらい届かない存在かと思った。
だけどそれは.....今日で終わりにする。
28歳で.....少しだけ年上の東山美穂さん。
俺の恋人で有り、この世界で唯一の存在に俺は.....。
同い年の25歳、俺、弥栄藤次郎(ヤサカトウジロウ)は.....2年付き合った恋人の東山さんに遂に打ち明ける。
何を打ち明けるのかと言われたら.....この先の話、婚約の件だ。
俺の住んでいる場所と会社から中間に有る高級フレンチレストラン。
その場所で薄化粧をして地毛の茶髪を整えて.....とても美しい雰囲気を醸し出している少しだけ年上の課長の東山さんに。
俺はゴクッと喉を鳴らして.....。
勢いよく飲んでしまった酒で乾いた喉を唾で潤しながら告げる。
「真面目に何年経っても良い。この先の結婚の事を考えたいんです」
だけど.....その事を告げてから。
彼女の顔が少しだけ歪んだ。
とてもとても、申し訳無さそうな感じで、だ。
嫌がっている感じでは無い歪んだ顔だったが。
それは嫌でも色々な事を察せるぐらい.....いや。
察してくれという感じの顔だった。
結婚という言葉以前の問題で有ると俺は思い唖然として俯く。
「.....ごめん。それは無理だと思う。.....それから.....もし良かったら別れたい」
「.....ぁ.....」
「.....ごめんね。私.....考えたの。本当に考えた。でも.....やっぱり無理なの。ごめんなさい」
時間が秒速で過ぎる感覚だった。
静かに.....周りの音が消えて行く。
何が起こったか理解したのは。
目の前から涙ながらに.....東山さんが去った後だった。
つまり振られた、と。
そういう事だと悪魔に言い聞かされる感じだ。
俺は.....絶望という影に包まれ、フレンチレストランのテーブルに顔を覆い隠し、突っ伏した。
☆
その後の事は記憶に無い。
状況を思い出すのも嫌で.....居酒屋でヤケ酒をしたから。
フレンチは全てを投げ出し、メインディッシュが来る前に帰った。
俺は.....振られてしまった、と全てに絶望して。
駅から離れた人目に入らない様な線路の上に立っていた。
「.....死ぬか」
全てを、2年で中心を.....心を作ってくれた人との別れ。
俺は.....本気で絶望した。
側には家の明かりが有る、この場所。
しかしその家々の光は綺麗とかじゃ無くて、黄泉への階段を照らしていると思えた。
ちょうど良い、死ぬにはもってこいだ。
「クソッタレ.....もう良い!もう良い!!!!!死んでやる.....!」
と思い、線路に寝転ぶ。
そうしていると視界の上に白のパンツが見えた。
俺は?を浮かべて顔を歪めて立ち上がる。
目の前に黒髪の長髪の女子高生が立っていた。
何だコイツ.....?
「お兄さん。何やっているの?」
「.....お前こそ何やってんだ。女子高生か?こんな夜遅くに」
「.....私は死のうと思ったんだけど.....その前に貴方が寝転がっていたから」
「.....」
ああもう、邪魔が入ったな.....と思いながら。
俺は頭を掻きつつ電車の警笛の音がしたので線路から出た。
そして改めて女子高生を見る。
確かに.....女子高生だ。
結構、顔立ちが整っていて目が大きく、鼻も小さくて、唇が潤っていて可愛い。
で、胸が大きい。
更に.....制服は今時のギャルの様な感じだが清潔感が有る。
だけどそんな事は今の俺にはどうでも良い。
今の時刻は22時。
つまり、女子高生が居る時間にしては有り得ない。
俺は少しだけ酒に気分を悪くしながら、女子高生に聞く。
「.....お前、名前は?」
「.....私?私は.....長崎。長崎美帆(ヤマダミホ)だよ」
「.....」
偶然か。
神が俺に挑んでいるのか。
俺を振った美穂さんの呼び方に似ている。
振られた今になっては思い出したくも無いが。
そんな当方の美帆はキョトンとして俺を見る。
それから.....ハッとした様な顔を浮かべた。
そしてニコッとする。
「お兄さん。私を泊めて」
「.....アホなのか?俺は.....死ぬつもりだったんだぞ。泊めてもクソも有るか」
「でもそんな中でも私を線路から退けたよね。私が死ぬつもりだった心を.....貴方は否定した」
「.....?」
美帆は笑みを浮かべる。
それから小さな声で私が自殺しようとしたのを止めた罰。
責任を取って下さい、という感じで言ってきた。
俺は見開いて美帆を見る。
盛大に溜息を吐いた。
何というか自殺を止められたのは、俺もなんだけど、と思いながら、だ。
でも.....それは言わなかった。
それなりに面倒な事になりそうだったから。
その代わりの言葉を俺は背を向けて吐く。
「.....勝手にしろ」
「有難う御座います♪」
それを聞いてから俺はおぼつかない足取りで。
自殺する筈だった線路からどんどん離れながら酒が染み込んだ体でトボトボと帰宅の途についた。
千鳥足っていうのかその様な感じで、だ。
すると背後から一生懸命に荷物を持ちながら.....うんしょ、うんしょ、と美帆が声を出してやって来る。
その荷物は.....旅行用のバッグで重そうに見えた。
俺は頭をガリガリ掻いて、そして手をゆっくりと差し出す。
「.....さっきから見てりゃ.....。その荷物。抱えてやるよ」
「.....え?いや.....良いですよ?」
「うるせえ。とにかく寄越せ」
そして美帆から鞄を奪い取った。
それから美帆の荷物を抱えながら歩く。
美帆は.....そんな俺の様子に目をパチクリしながら聞いてきた。
とんでもない事を、だ。
「お兄さん.....もしかして私を好いているんですか?」
「何を馬鹿な事を。俺は振られたばかりだしな」
「.....そうなんですね。もし良かったら慰めてあげましょうか?」
慰めるって何をどうするんだ。
と思いながら俺は美帆を見ると、美帆は自身の胸を強調していた。
そして、ふふーんと声を上げる。
更にスカートを握った。
それを見て.....俺は察する。
これで察しない男の方がおかしい。
俺は思いながら溜息を吐いて首を振ってから美帆を見た。
それから言葉を発する。
「.....お前に慰めてもらう必要はねぇよ。クソガキ」
「お?言いましたね?.....これでも私、Fカップですよ。慰めるにはそれなりに十分じゃ無いですか?」
「何にせよ.....お前の様なクソガキに慰めてもらう必要はねぇ。俺は25歳だぞ。大人だからな」
その様に吐きながら。
ったく、と思いつつ.....美帆を改めて見ると美帆は驚愕に驚愕した様な感じで目を丸くしていた。
そして走って行って先回りして俺に向いてくる。
小首を傾げて、何故?、という様な顔をしながら聞いてきた。
「何でそんなに私の身体に興味無いんですか?相手はピッチピチの女子高生なんですよ?」
「考えれば分かるだろ。子供に興味なんか湧くか」
「でもこれまでの男の人はみんな私の身体を求めましたよ?おかしいですね」
「.....あのな.....おかしい?.....ふざけんなよ」
その様に悪態を吐いて俺は再び歩き出す。
それから.....少し経って後方を見た。
俺のその足の速度は遅いか早いか分からなかったがそれなりに経った気がする中で美帆に向いて少しだけ怒って話す。
この言葉はどうしても言いたかった。
「良いか、女の子が簡単にヤるとか言うな」
「.....!」
「例えジョークでも言うな。女の子は身体を大切にしろ」
「.....」
そんな感じで話して居ると俺達は俺のアパートに着いた。
錆びた階段を上がってそれから自室に入る。
それから.....美帆に向いた。
酒が回って眠たくなってきてしまったから取り敢えず先に話しておこう。
俺は思いながら.....美帆に話した。
「一先ずは自由にやってくれ。かなり酒が回ってきたからすまんけど寝る」
「.....えっと.....本当に慰めは要らないんですか?私の」
「.....良い加減にしろ。クソガキの慰めなんぞそんなもんには興味無い」
全く面倒毎に巻き込まれてしまった。
俺は思いながらベッドに倒れる。
そして俺は.....目を閉じた。
嫌な事を忘れたい.....と思いながら。
そのまま俺は寝てしまった。
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