決意
カツカツと足音が響く孤児院…いや、王国に抵抗するものたちの基地。ここは元々教会だった。
中央には懺悔の塔がある。まぁそこを使うやつなんて誰もいないのだが。そんなことを考えながらこの最果ての地の神が祀られている神殿へ足を運ぶ。この神殿には誰もいないはずだ。落ち着くには丁度いい。そう思ったのだが……
「神様……私はどうすればいいのでしょうか……あの声に従うべきなのでしょうか……」
レイナの声だ。間違いない。そう思って少し覗いて見た。ほんの出来心だった。
「どうか、罪を犯した私をお許しください……人を殺したという罪を犯した私を……」
泣きながらそう言葉を続けるレイナは幼い頃あたしも貰った修道女の服を着ていた。あの白い服は血まみれでもう着れないだろうから仕方ないか。そう考えつつ煙草に火をつける。極度なヘビースモーカーな訳では無い。ただ何となく吸いたい気分だったから吸った。それだけだ。
「人の命を奪った罪……かぁ」
そうぽつりと独り言を呟いた。
「なんだ?今更。俺たちはたくさんの人を殺めてきたじゃないか」
嗚呼、1番聞かれたくないやつに聞かれたのか。
「オーウェン、居たのかい。相変わらず老けた顔をしてるね」
そう半笑いで返すと
「一言余計だ。んで?どうしたんだよ急に」
老けた顔の一言で眉間にシワを寄せる同期。
「別にぃ?神殿の中見て見ればわかる」
そういい顎で指すと、そっちを見る。
「レイナじゃないか。おーい何してんd((むぐ!?」
大声で呼びかけようとしたから慌てて口を抑える。
「静かにしな。あいつはあいつなりに決意しようとしてるんじゃないのか?」
「そ……そうだな」
「……オーウェン、煙草吸うか?」
「いいのか?」
「ああ、レイナの秘密を知ってる者同士。内緒の証だ。」
そう言って煙草を1本渡して火をつけた。
暫くして泣き声が途切れたので中を覗いてみると何かを決心したようなレイナの姿があった。
「神様、人を殺めることをお許しください。この地を取り戻すため……私はこの地を犯した者を……」
そこまで言ってプツリと糸が切れたかのように眠ってしまった。さてどうするか……
「あれ?レイナじゃんか。寝てるのか?ったく仕方ないな」
わざとらしいがそう言いながら入ったあたしはレイナの体を担ぐ。
「軽すぎないか……?まぁいいか。」
すぅすぅと寝息を立てるレイナを担ぎ神殿を後にする。大広間に着いたらハイネとルーナが居た。やはり何かを話しているようだった。
「アリアさん」
そう声をかけてきたのはテレサとディアランだった。
「なんだ?」
「やっぱり、私達も戦うべき……なんですよね」
この2人は戦いに不参加だった。その代わり怪我をした同期の手当をして回っている。
「いや?お前らはお前らのできることをやればいいと思うぞ。同胞たちの手当とかね」
それを聞いた2人は
「はい!」
と返事をした。
「あぁ、そうだ。レイナを頼んだ。神殿で寝てたんでな」
「わかりました」
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