プロローグ

最果ての地、とある孤児院。

ホーホーと梟の鳴く声にふと顔を上げた少女は目を見開いた。どうした?と同室の子が聞く。

「声が聞こえたの。“ソコには敵だらけだ。早くこっちにいらっしゃい。”って。」

目を伏せ気味にして少女は語る。

「“敵を全て殺しなさい。あなたは特別なのだから。”そう言っていたの。」

敵?僕たちも?同室の子が聞く。

「ワカラナイ。でも、敵を殺さないと私が死ぬみたいなの。」


1ヶ月が経った満月の日。少女は外に目を見やる。紅い月が少女を照らす。“早くおいでなさい”少女の脳内に声が響く。“此処の神父やシスターは全て敵。あの国の奴等なの。早くおいでなさい。”「しんぷさまとしすたーをころす……」ぽつりとそう呟いた。少女の眼は真紅に染まっていた。


その日、最果ての地の孤児院でシスターと神父が惨殺された。血溜まりの中に目を真紅に染めた少女が無言で立ち尽くしていた。

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