第8話
『え?そうなの?』
『うん。そうだよ。』
マーニャたちが不老不死だなんて知らなかった。
しかも、肉体が全盛期の時に成長が止まるだなんて・・・。
マーニャたちまだ子猫の姿のままだから不思議に思ってたんだよねぇ。子猫から成長しないなぁーって。
そっか。そうだったんだ。
マーニャたちが成長しないのは異常事態じゃなかったんだ。よかった。
もしかしたら先天性の障害なのかもと思って実は少し・・・いやかなり不安だったんだよね。
そっかそっか。
不老不死なんだったら納得だよ。うん。
『でも、マーニャたちも成長したでしょ?クロとシロくらい大きくなったんじゃない?大きくなったマーニャたちを見て見たいな。どう?久しぶりに僕の家に来ないかい?』
んん?
マーニャたちシロとクロみたいに大きくなってないんだけどなぁ。まだまだ可愛い子猫の姿なんだけど・・・。
マコトさんに説明しようと思うが、マコトさんの家に誘われているのならば好都合だ。
きっとマコトさんの家に行くと返事をすればここまでマコトさんが迎えに来てくれるだろう。それにシロもクロも生きているのならば、きっとマーニャたちに会いたいんじゃないかなとも思う。
マーニャたちもシロとクロに会いたいだろうし。
『マーニャたちは変わらずですよ。でも、せっかくだから遊びに行ってもいいですか?』
『もちろん。君たちなら歓迎するよ。で?今はどこにいるの?迎えに行くよ?それともプーちゃんが送ってきてくれるかな?』
『まだ魔王城にいるんです。プーちゃんの姿はここ15年程見ていなくて・・・。申し訳ないんですけど、迎えに来ていただけますか?』
よしよし。マコトさんは迎えに来てくれる気があるようだ。
よかった。これなら言いやすい。
『あれ?プーちゃんがあなた達の側にいないだなんておかしいですね。プーちゃんはマーニャたちのことが大好きだったと思うんですけど・・・。』
『魔王様が身罷られてから探さないで下さいと置手紙を残してどこかに行ってしまったんです。それから連絡が取れません。』
『そうでしたか。まあ、青竜ですものね。長い時を生きていればたった15年ぽっちあっという間のことなんでしょうね。』
『そうかもしれませんね。』
確かにマコトさんの言う通り何千年と生きてきたプーちゃんにとっては15年なんてあっという間のことなのかもしれない。もしかして、探す必要もないくらいの時間なのかな・・・。
『話が決まれば行動ですね。すぐに迎えに行きますので、その場から動かずにお待ちください。』
マコトさんはそう言うと念話を切った。
それからすぐに私たちの前に以前会った時と寸分変わらない姿のマコトさんとシロとクロが現れたのだった。
「マユさん。お久しぶりですね。あなたは全く変わらないですね。それに、マーニャ達も全く変わらない・・・え?ええ!?なんで、マーニャたち子猫のままなんですかっ!!?」
マコトさんが転移の魔法を使用して魔王城に来た。そうして、マーニャたちの姿を見て驚いて目を丸くした。
曰く、いくら不老不死の猫様であろうとも、子猫の姿のまま成長が止まることはまずあり得ないと。
『マーニャはマーニャなのー。』
『クーニャもクーニャなのー。だからミルクちょうだいなのー。』
『ボーニャもボーニャなのー。マコト変なこと言わないでなのー。』
「そ、そうですよ。マコトさん。マーニャたちがおかしいわけないじゃないですかっ。」
でも、マーニャたちは元気いっぱいだ。
これが異常なことのはずがない。
私はそうマコトさんに告げた。
「そ、そうですね。相変わらず元気そうですね。でも、前例がありません。マーニャたちを猫様専属のお医者様に見せてみませんか?異常があってマーニャたちが苦しむようなことがあったらと思うと・・・。」
「猫様専属のお医者様がいらっしゃるんですかっ!?まったくもって知りませんでした。それならば、是非、マーニャたちの健康診断をしてもらいたいです。」
『健康診断ってなにー?』
『それってミルクより美味しいのー?』
『それって面白いのー?』
健康診断がなんのことなのだかわからないマーニャたちは頭上にハテナマークをまき散らしている。
健康診断というものがなんだかわからなくて、きょとんとしているマーニャたちはとても可愛い。
いや、通常時もとても可愛いんだけどね。
今まで健康診断なんて縁もゆかりもなかったもんね。仕方がない。
「もう生まれてから15年も経っちゃってるので、今更感はありますけどね。」
マコトさんが苦笑しながら告げた。
「そうですね。でも、いつまで経っても子猫のままって言うのも気になるし・・・。」
確かに今更感はある。
15年病気も怪我もせず健康体そのものだったんだから本当に今更だ。
ただ、マーニャたちの姿が成猫の姿ではなくて子猫の姿のままっていうのはとても気になってしまう。
なにか、悪いことではないといいのだけれども。
それを判定するためにもお医者様に一度見てもらいたいところだ。
「それは、私もとても気になっているよ。王都に猫様専属のお医者様がいるから今日にでも行ってみるかい?」
「ええ。お願いします。」
何故か、プーちゃんを探すことは忘れてマーニャたちの健康診断に行くことになった。
「では、転移しますので私の側に集まってください。」
『はーいなのー。』
『ラジャーなのー。』
『ミルクなのー。』
「はーい。王都は初めてだから楽しみだわ。」
「準備万端ですのでお願いします。」
私たちはマコトさんの声に反応して、マコトさんの側に集まる。そうして離れないように互いに手を取り合った。
こうして、私たちは王都にあるマコトさんの家に転移をしたのだった。
って、あれ?
なんか返事が一つ多かったような・・・。気のせいだろうか。
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