第27話
「女神(?)様、いっちゃった・・・。」
「そうね・・・。」
「っていうかさ、女神(?)様が目覚めるのは数百年後って言ってたよね?」
女神(?)様は私に世界を任せると言って自分は長い眠りについてしまった。
報酬にスキルをくれるという話だが、そのスキルがどういうものかというのも聞けなかったし、今は女神(?)様も力を使い果たしてしまっているから、その報酬というものもすぐにはもらえないようだ。
というか、女神(?)様が目覚めるまでスキルはもらえないということだよね・・・?
それまで何百年とタダ働きのようである。
しかも、何百年もたって女神(?)様が覚えているとは限らないし。
そう思うと大きなため息が出てしまった。
「マユ、あまり気張らないことよ。」
「そうは言ってもねぇ・・・。」
マリアはなぐさめてくれるが、これからのことを考えると頭痛がしてくる。
今まで女神(?)様がおこなっていたことを私なんかが代役できるのだろうか。
そう思うと胃まで痛くなってくるような気がした。
『マユ、安心するのじゃ。妾たちがおるのじゃ。マユは一人ではないのじゃ。妾たちがいればなにも恐れることはないのじゃ。』
『そうなのだ。我らにできぬことはないのだ。』
「タマちゃん・・・。プーちゃん・・・。ありがとう。」
そうだ。
私は一人ではなかったんだ。
マリアもいるし、タマちゃんやプーちゃんたちもいる。
それにマーニャたちもいるのだ。
こんなに心強いことはない。
『そうと決まれば家に帰るのだ。トマトがどうなっているのか気になるし、早くトマトが食べたいのだ。』
『妾は甘味でよいぞ。でも、トマトとやらも食べてやってもよいのじゃ。』
『クーニャはミルクがほしいのー!』
うん。知ってた。
みんな食欲が一番だということ。
でも、食べることは何よりも大事だと思う。
「そうだね。ここでの仕事も終わったし女王様に報告して帰ろうか。」
「そうね。恙無く終わったことだしね。」
そうして私たちは自宅へと帰ることになった。
☆☆☆
「マユ殿。話は聞いておる。ヤックモーン王国の問題だけではなく、エルフの問題も解決したとか。」
ところ変わってここは、レコンティーニ王国の王宮の中の謁見の間である。
プーちゃんの転移の魔法でササッと帰国した。それから、すぐに王宮にいるパールバティー様に謁見を申し込んだのだ。
まさか謁見を申し込んだ当日に女王様に会うことになるとは夢にも思わなかったけれども。
女王様は暇人なのだろうか。
そう思ってはいけないことはわかっているが、謁見を申し込んですぐに会えるというのはちょっと、そんなことを思ってしまう。
「はい。その二件ともプーちゃんやタマちゃんの力を借りて解決することができました。」
まあ、ヤックモーン王国の件についてはプーちゃんとタマちゃんの力というよりも、女神(?)様の力によるものだったけれども。
ただ、女神(?)様が関与していたということには触れない方がいいだろう。
それに、女神(?)様は深い眠りについてしまったし。なにより、私が現在の女神(?)様の代理ということになっているのだから。
「そうかそうか。よくやった。して?ヤックモーン王国の件には創成の女神が関与していたと影からきいているが?」
おおっと・・・。
もうすでに女神(?)様のことを女王様は知っていたよ。
女王様に隠し通せると思ったのが間違いだったか。
知られてしまっているのであれば、変に隠しだてしない方がいいだろう。
「はい。異世界からの迷い人を異世界からこの世界へ呼び込んでいるのは女神(?)様でした。そのため、女神(?)様が責任を持って彼をもとの世界に戻してくださいました。」
「うむ。そう聞いておる。それで?創成の女神は力を使い果たして眠りについたとか?」
「・・・はい。異世界へ人を送るということは相当の力が必要なようでした。そのため、今は力を使い果たして眠りについております。」
「して、どのくらいの眠りになるのだ?数日か?数ヵ月か?」
女王様は女神(?)様が力を使い果たして眠りについたことまで知っているらしい。
さすがに眠りにつく期間までは知らなかったらしいが。
この分だと私が女神(?)様が眠りについている間の代理をするということも、知っているのだろうか。
「・・・女神(?)様からは数百年と聞いております。」
「そんなにか!?」
「・・・はい。」
女王様も女神(?)様がそんなにも長い間眠りにつくことになるとは思ってもみなかったようだ。
それまでは、堂々とソファーに深々と座っていたが、女神(?)様が数百年の眠りにつくと聞いて、身を乗り出してきた。
それほど、衝撃的な内容であったようだ。
「どうするのだ!創成の女神が不在のまま数百年・・・。世界は持ちこたえられるのだろうか・・・。」
「あの・・・この世界はそんなにも女神(?)様の干渉が多いんでしょうか?女神(?)様に頼らなければならないほどのことがそんなにも起こっているのでしょうか?」
この国は、この世界は、そんなにも女神(?)様に頼ってきていたのだろうか。
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