第140話
私たちは今、呪われた大地に立っている。
真昼間だというのに、呪われた大地は分厚い雲で覆われており太陽の光が届かないので薄暗い。
プーちゃんたちと話し合った後、呪いを解除しようという話になった。
ただ、もう時間が遅かったので明日に持ち越しという話になり、今に至る。
それにしても呪われた大地は太陽が出ていないのでとても寒い。
皇太子殿下の元奥様の上着を借りているのだが、それでも寒い。
吐く息が白くなるくらいには、寒い。
「で、呪いを解くためには何をしたらいいの?タマちゃん。」
プーちゃんからの命令で呪いをかけたタマちゃんに確認してみる。
呪いの解呪方法、難しくないといいんだけどなぁ。
『まずは太陽を呼び戻すのじゃ。太陽は気恥ずかしがりやなのじゃ。ゆえになかなか姿を現さないのじゃ。』
「・・・はあ。」
まあ、太陽出てないと寒いしね。
太陽を呼び戻すのはわかった。
だけど、肝心なのはその方法である。
厚い雲に覆われているのだから、雲を取っ払ってしまえばいいのだろうか。
すると、雲を打ち抜くような魔道具を使えばいいのかな?
マコトさんそんな魔道具持っているだろうか。
「マコトさん。雲を打ち抜いて散らすような魔道具ってありませんか?」
「ああ、そうですね。雲を散らしてしまえば太陽が出るってことですね。ちなみに、皇太子殿下。雲を散らす方法は試したことがありますか?」
マコトさんはそう言って皇太子殿下に確認を取る。
そうか、確かにすでに試していた方法だとすると二度手間になってしまうものね。
確認は大事だね。
「ええ。気象学の専門家の先生をお呼びして試してみました。空気砲を雲に向かって撃ってみたんですが、雲は散らばるどころか雲に反射して空気砲がこちらに戻ってきまして大変な目にあいました。いやあ、はははっ。」
「えっ!?」
「ほお。空気砲を反射したんですね。それは興味深いですねぇ。」
皇太子殿下はのんきに笑っているけど、空気砲を反射する雲なんて聞いたことないんだけどっ。
どれだけ頑丈な雲なのよ。それとも、空気砲がみみっちいだけ・・・?
いや、でもみみっちくても空気砲を跳ね返すなんて普通の雲だったらあり得ないだろう。
でも、そうなると魔道具で雲を蹴散らそうとしても同じ目に合いそうで怖いな。反射してきたらそれこそ大惨事だろう。
「では、おあつらえ向きな魔道具があるので試してみましょうか。その名も大砲ドドン君1号です。まだ試したことがなかったのでウキウキしますね。」
「はあっ!?ま、マコトさんっ!!皇太子殿下の今の説明聞いていましたか?反射したんですよ!反射!!大砲なんて使ったら危ないじゃないですかっ!!」
「マコトさんっ!!?」
「えっ?ちょっと私の話聞いていました?」
ウキウキしているマコトさんと対象に私と皇太子殿下とミルトレアちゃんは大慌てである。
もし、同じように反射してきたとなると脅威でしかない。
ここは、もっと慎重に。
「大丈夫ですよ。このドドン君1号の威力はすごいですよぉ。反射できるものなんてありませんよ。試してみたところ小ぶりな山なら一発で無くなりましたよ。」
「「「ちょっと待てっ!!!」」」
思わず私たちの声がハモる。
山を消すような魔道具を使ってそれが反射してきてしまったら私たちは一体どうなるのだろうか。
絶対にやらない方がいい。
絶対に阻止しなければという思いが私たちの胸の中に生まれた。
『無駄じゃ。あれには妾の呪いがかけてあるのじゃ。人の作った道具でどうこうできるような物ではないのじゃ。跳ね返ってきてお主ら皆チリとなるであろうよ。』
タマちゃんがポツリと言った一言で固まる私たち。
「しょうがないですねぇ。今回はやめておきます。」
しぶしぶとマコトさんがタマちゃんの言葉を受けて魔道具を使用するのをやめてくれた。
「じゃあ、どうしましょうか?」
そう言ったのは皇太子殿下である。
「・・・宴を開くとか?」
それに自棄になって答える私。
雲を蹴散らすことができないのだったら、どこかの神話のように太陽に出てきてもらうしかないではないか。
誰だ、そこ。
非現実的だとか言ったやつ。
・・・私もそう思う。
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