第80話

 


早くトンヌラさんの声が戻ったらいいのになぁ。


なぁんて思いながら錬金釜の前に立つ。


右、左、上、下を確認して錬金釜の蓋に手をかける。


 


あれ?


おかしい。


やっぱり今回も誰も魔力を込めにこない・・・。


 


不思議に思いながらも、錬金釜の蓋を開けた。


中には10個の化粧水が入っていた。


どれも無色透明の化粧水である。


手にとって鑑定してみるが、化粧水の効果まではやはりわからなかった。


やっぱりベアトリクスさんに見ていただくしかないか・・・。


私は化粧水を手に、転送ボックスに向かう。


そして、転送ボックスに化粧水を入れた。


しばらくして、ベアトリクスさんからの念話があった。


『はろぉ~。こんな遅くにまでぇ~化粧水作ってるのぉ~?マユさんってばぁ~貧乏性ねぇ~。』


「あはは。ちょっと理由があって化粧水作ってるんです。でも、私じゃ化粧水の効果がわからないから・・・。」


『うふふ~。早くぅ~化粧水のぉ~効果がぁ~見えるくらいにぃ~鑑定レベルがぁ~あがるといいわねぇ~。ちなみにぃ~鑑定レベルはぁ~今いくつなのかしらぁ~?』


ベアトリクスさんに問われて、最近自分のステータスを見ていなかったことに気付く。


鑑定レベルも特に気にもしていなかった。


「はぇっ!?鑑定レベル256になってますっ!」


『まあ~!成長がぁ~早いのねぇ~。この分だとぉ~すぐにぃ~効果もぉ~見れるようにぃ~なるんじゃないかしら~。』


いつの間にか鑑定レベルが256まで上がっていてビックリした。


こんなにすぐに鑑定レベルって上がるものなのだろうか。


でも、このレベルでも化粧水の効果がわからないってどういうことだろうか。


やはりレベル500くらいまでいかないと見えないのかな。


『それでぇ~この化粧水のぉ~効果だけどぉ~。』


ベアトリクスさんが、そこで一度区切る。


気になるところで切らないで欲しい。


効果が知りたいのに。


トンヌラさんの声が早く戻るといいのに。


『んふふ~。』


「もったいぶらずに、一思いに教えてください。」


なぜ、今回はこんなにも溜めるのだろうか。


早く教えて欲しいのに。


『効果は~。』


「効果は?」


『前回とぉ~同じですぅ~。声がぁ~でなくなりますぅ~。』


「ぶっ!!」


化粧水の効果に思わず噴いてしまった。


まさかの前回と同じ効果。


そう言えば、乳液も作っても作っても毎回同じ効果だったなぁと思い出す。


その時と今回の共通点は・・・私以外の魔力が込められていないこと。


もしかして、誰かの魔力が込められないと毎回同じ効果の化粧水や乳液ができてしまうのだろうか。


これは、マーニャたちや精霊たちに協力してもらわなければならなそうだ。


『また~売れませんねぇ~。』


「ほんとに。扱いに困るよ、この効果。」


ああ。困った。


トンヌラさんの声はまだ戻らないようである。


 


また、この後もう一回化粧水を作成したが、確認するのは夜遅くなってしまってすでに私は夢の中だったので、朝一で確認したが、やはり誰も魔力を込めてくれなかったので、化粧水の効果は声がでなくなるという効果でした。


どうして、誰も魔力を込めてくれないんだろう。


お願いしようとすると、皆どっかに隠れちゃうし・・・。


そんなこんなで、トンヌラさんの声を戻す効果の化粧水ができないまま、王都へと旅立つことになりました。


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