第110話

 


 


「マユさん・・・。あなたはどうやって化粧水の効果を決めているんですか。作成者が効果がわからないだなんて・・・。」


マコトさんが呆れたようにこちらを見てくる。


そうだよね、普通に考えたらおかしいよね。


 


「美味しくなぁれって思いは込めてありますが、効果の方は全くなにも考えていなかったんです。で、ユキさんに渡したのはプーちゃんが魔力を仕上に込めてくれたものでして・・・。今まで何回か化粧水を作っているんですけど、効果はその時々によって違うんです。」


 


「・・・制御できていないということですか。」


 


「あはははは。・・・そうともいいますね。」


 


そうだよね。自分が作ったものの効果が何になるかわからないって、制御できていないよね。


効果はプーちゃんたちが決めているのかと思ったこともあるけど。味はメロンソーダとか醤油とかプーちゃんは知らないだろうから私が無意識に味を決めていたのかもしれないけれど。


 


「マーニャ、ボーニャ、化粧水を作るときの効果ってマーニャたちが決めたの?」


 


念のためマーニャとボーニャが化粧水を作るのに手伝ってくれたときのことを確認してみる。


 


『ちがうのー。』


 


『女神様のきまぐれなのー。』


 


「「ぶっ。」」


 


『『『きたないのー!!』』』


 


マーニャとボーニャからの衝撃発言に、私は飲んでいた水を噴出し、マコトさんは口に含んでいたねこまんまを噴出してしまった。


まさかの化粧水の効果を女神様が決めているとか。しかも気まぐれとかなんなのそれ。


制御云々ではなく女神様のせいって・・・。


 


「女神様・・・かぁ。あのお方を女神様と呼んでいいのかわからないが、女神様の気まぐれで効果が決まるのならば制御できないだろうなぁ。しかも、鑑定スキルのレベルが高くないと効果がわからないとか完全に女神様の趣味なような気がしてきた。」


 


マコトさんのため息が深くなる。


って、マコトさんの話しぶりからするにマコトさんも女神様に会ったことがあるようだ。


 


「女神様(?)に会ったことあるんですか?」


 


「ああ。何度か。でもあのお方は女神様なのだろうか・・・僕には男神様にも見える。」


 


「・・・私も同感です。」


 


よかった。


女神様が男神様に見えるのはマコトさんも一緒だったようだ。


私だけの勘違いでなくてよかった。


 


「まあ、女神様のきまぐれならば効果は制御できないのだろう。もう、鑑定レベルをガンガンあげていくしかないようだ。もしくは、ユキは高レベルの鑑定スキルを保持しているから鑑定できるようになるまでは化粧水はすべてユキに鑑定してもらうといい。」


 


「ありがとうございます。ユキさんに相談してみます。」


 


そうかそうか。ユキさんも高レベルの鑑定スキル持ちだったんだね。


そうしたらもしかして、ユキさんだったら金の卵を鑑定できたのだろうか。


 


「ところで、今回の異世界からの迷い人はマユさん一人かい?」


 


突然、マコトさんが話題を変えてきた。


ん?迷い人が一人ってどういうこと?複数で迷い込んでくることもあるってこと?


 


「ええ。一人です。マコトさんのときはユキさんと二人ですか?」


 


「ああ。僕たちはほぼ同時期にこの世界にやってきたんだ。そうか、マユさん一人だったか。おかしいな、じゃあなぜマーニャ達は三姉妹だったんだろう。てっきり今回は異世界からの迷い人が3人キャティーニャ村に来ると踏んでいたんだが・・・。」


 


「え?」


 


異世界からの迷い人が3人?


キャティーニャ村には私しか迷い人がいなかったと記憶している。


まあ、まだこの世界に来てからそんなに時間が経ってはいないけれど。


でも、マーニャたちが三姉妹だから異世界からの迷い人が3人っていうのはどういうことなんだろう。


もしかして、異世界からの迷い人一人につきマーニャたちが一匹専属でやってくるということだろうか。


もし、そうだとしたら私はマーニャたちのうちの二匹と離れなければいけないの!?


そんな。それは・・・イヤだ。


だって、皆それぞれ個性が違って可愛いんだもの。


誰かが欠けるだなんて、そんなのは・・・。


 


「ああ。そんなに落ち込まないで。今までの前例だと、異世界からの迷い人一人につき凪様の眷属の猫様が一匹サポートでつくことが多かったんだ。だから、今回は異世界からの迷い人が3人来るのかと思ったのだけれども・・・。まあ、マーニャたちもマユのことが大好きなようだから安心するといい。異世界からの迷い人が来ても猫様に選択の権限があるから。猫様が気に入らなければ異世界の迷い人のサポートにはつかないだろう。」


 


「あ・・・はい。」


 


マコトさんはそうやって慰めてくれるけれども、もしマーニャたちが他の異世界からの迷い人を気に入ってしまったらそちらに行ってしまうということでしょう?やっぱりマーニャたちと別れたくない。


それに、マーニャたちが異世界からの迷い人のサポートをするということは、私は他の異世界からの迷い人からサポート役のマーニャたちを奪ってしまうということになるし。


 


「ああ。そんなに考え込まないでくれ。困ったなぁ。マーニャたちがマユさんを困らせた僕を睨んでいるよ。そうだ。この後僕の家においで。よかったらこのままくるかい?」


 


 


 


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