第69話

 


食事を終わらせてマーニャたちがいるベッドルームを見るとマーニャたちは思い思いのベッドでぐっすりと眠っていた。


ボーニャもクーニャも猫だからなのか、横向きになって丸まって眠っている。


マーニャだけが、仰向けになって大の字で豪快に寝ている。


 


「あらあら。寝ちゃったかぁ。言葉が通じるようになったからいっぱい話したかったんだけどな。」


 


「疲れたんだろう。」


 


「マーニャ様たちもマユと会話ができるとはしゃいでいたからなぁ。」


 


「そうなんだ・・・。」


 


女神様(?)のところで過ごした時間は10分も経っていない感覚だったが、戻ってきてみると2時間は経っていたからマーニャたちとゆっくり話をする時間が取れなかった。


明日はもうこの街を出る予定だし。


そうなるとマーニャたちとあんまり会話ができなかったなぁと寂しくなる。


 


「って!この子たちお風呂に入ってないんじゃない?せっかくお風呂があるのに。」


 


すやすやと寝ている子たちを起こすのは忍びないが、キャティーニャ村の家にはお風呂がないのだ。


でも、この宿には部屋にお風呂がついている。


これを使わない手はないと思う。


マーニャたちもお風呂に入りたいだろうし。


って、村長さんの家でお風呂に入ったことあるのかな?


もし入っていなかったとしたらこれが初体験だよね。


お風呂ってとっても気持ちが良いし、マーニャたちにも体験してもらいたいな。


 


「いや・・・寝かせておこう。」


 


「その方がよい。」


 


だが、ザックさんもプーちゃんにもマーニャたちを起こすのを反対された。


どうしてだろう。


お風呂なんて普段なかなか入れないんだから貴重なのに。


 


「でも・・・キャティーニャ村のお家にはお風呂がないのよ。ここで入らないと・・・。」


 


「マユ殿が稼いで自宅を増築してお風呂をつければいいんじゃないか?」


 


「うむ。」


 


「あ、そっか。ってそんなにお金ないんだけど・・・。」


 


どうやらザックさんもプーちゃんもマーニャたちをお風呂に入れたくないようである。


まあ、こんなにスヤスヤと良く眠っているマーニャたちを起こすのは難しいよね。


寝顔もとっても可愛いし。


この世界にカメラがあったら写真に撮りたいのに、残念ながら手元にはない。


ザックさんにも確認してみたが「カメラってなんだ?」と逆に疑問で返された。


カメラについて説明をしてみたが、ザックさんには心当たりがないらしい。


おかしい。テレビがあったのだからカメラだってあってもいいはずなのに。


仕方がないから、マーニャたちの寝顔をジィッと見つめて、目の裏に寝顔を焼き付けておくことにする。


 


「マユさん。お風呂、空きましたよ。」


 


「あ。ありがとうございます。」


 


しばらくマーニャたちの寝顔を堪能していると、そろそろ寝ようかという話になった。


既にプーちゃんもザックさんもお風呂に入った後で、残るは私だけだ。


ゆっくりお風呂に入りたいから最後にしてもらった。


 


「あ、私なが風呂なので先に寝ちゃってくださいね。」


 


「「わかった。」」


 


プーちゃんもザックさんも二つ返事で頷いてくれた。


むふふ。


これで一人でゆっくりお風呂を堪能できる。


お風呂で寝ちゃっても怒られることはないだろう。


よし!久々のお風呂を堪能するぞー!


 


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