第61話

マーニャたちとの時間を邪魔されたことに、少しだけ腹が立ちながらも、声のした方を振り返る。

すると、そこには滅多にお目にかかることがないだろう美青年が立っていた。

銀髪のロングヘアーは、さらさらとしていて指どおりがよさそうだ。顔もこれ以上ないってくらいに整っている。

瞳の色は水を表すような澄んだ青をしている。スラリとした長身といい、まるで人間とは思えないほど整った容姿をしている。

というか、この街にいるから人間じゃないんだろうけどね。


「こっちこにゃいでー!」


「こにゃいでー!」


「くるにゃなのー!!」


ありゃりゃ。

美青年を見た瞬間、 マーニャたちが美青年を威嚇しはじめた。

来るなと、マーニャたちから言われた美青年は今にも泣きそうである。目に涙を溜めているようで、ウルウルとしている。

それがまた青年の色気を醸し出している。


「そ、そんなに邪険にしなくても………。」


あまりに、マーニャたちが威嚇をするから目の前の美青年がどうも可哀想に見えてきてしまう。

決して美青年の色気に当てられた訳ではない。断じて。


「ま、マユ殿が優しい………。」


「えっ!?ちょっ!!泣かないで!」


とうとう美青年は泣き出してしまった。どうしようとオロオロしながら、見つめるしかできない。

後ろではマーニャたちが、私の服の裾を引っ張ってくる。


「マユ、いこー。」


「あっちいこー。」


「そんなのに構っちゃダメなのー。」


おおう。マーニャたちってば、手厳しい。

そんなにこの美青年は、マーニャたちに邪険にされるほど、何かをしてしまったのだろうか。

ってマーニャたちをじっと見つめる。


「どうして、そんなに邪険にするの?」


マーニャたちに邪険にされるくらいだから、よっぽどのことをしてしまったのだろうか。


「マユ、どんかんー。」


「どんかんー。」


「にぶにぶー。」


おっと、マーニャたちに鈍いと言われてしまった。

でもでも、こんな美青年に一度でもお目にかかったら忘れないと思うんだけどなぁ。


「プーちゃん、め!!」


「め!!」


「しっしっ!」


ん?

マーニャ?プーちゃんがどこにいると………。

!!?

もしかして、まさかして、ひょっとしなくても………。


「プーちゃん、なの?」


半信半疑で目の前の美青年にたずねてみる。

すると、


「うむ。いかにも。」


と、肯定の返事があった。


マジでか。

マジで、この眼福な美青年がプーちゃんがなのか。

そうか、そうなのか。

現実はなんて残酷なんだろうか。

思わずプーちゃんにときめいてしまったではないか。

ああ、一生の恥だ。

まさか、プーちゃんだったなんて。


頭が混乱している。

目の前の美青年がプーちゃんだなんて信じたくない。

でも、プーちゃんだというし。


「プーちゃん近寄らないで。」


これ以上、人の姿のプーちゃんが側にいると混乱が収まりそうにないから、プーちゃんと距離をとる。

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