第29話


さっきからプーちゃんとマーニャたちが気になっていて、オークションの中継を見るのがおろそかになってしまっている。

というか、中継を見ることはプーちゃんの巨体が邪魔をしているので諦めているのだが。


『マーニャ様ぁ~すみませんでしたぁ~!』


「にゃ!」


「にゃあ!!」


「にゃあぁん。」


『・・・え?』


なにやらプーちゃんにマーニャたちが何かを要求したようだ。

明らかにプーちゃんが慌てている。


「マリア、マーニャたちはプーちゃんに何て言っているの?」


「来るのが遅くなったんだから私達の言うこと聞いてもらうわよ。って言っているわ。で、その用件がさっきマーニャたちが飲み残した化粧水を飲むことらしいわ。」


「あら。」


相当マーニャたちは化粧水がトラウマになったらしい。

いそいそとマリアが先程マーニャたちが飲み残した化粧水をひとつのお皿にうつしかえている。そうして、プーちゃんに差し出した。


「マーニャ様たちが言っているのはこれよ。マユとマーニャ様の合作で出来た化粧水よ。」


『・・・ごくっ。』


プーちゃんから緊張からか唾を飲み込んだような音がした。

マーニャたちには不評だったけど、私達には好評だったんだよねぇ。この化粧水。

だからそんなに緊張することはないと思うんだけど。

そんなことを知らないプーちゃんは「いったいこれはなんなんだっ!?」といった表情を浮かべている。

それを見ていたマーニャたちだったが、既に他のことに気をとられたのか、早速プーちゃんのことは見ていない。

三匹で追いかけっこを始めてしまった。


『・・・これを飲むのか。飲めるものなんだろうな?毒じゃないんだろうな?』


ドキドキしながら化粧水を見つめるプーちゃん。というか、竜であるプーちゃんに毒なんて効くのだろうか。

お皿の前でとぐろを巻いているプーちゃん。相変わらずテレビは見れない。


「早く飲んじゃって。それか、小さくなってくれないかな?」


オークションに集中できないし。


『2000!現在ぃ~2000ニャールドで~すぅ~!』


会話の間にオークションんの中継が聞こえてきた。どうやらまだ落札者が決定していないらしい。

ゆっくり中継を見るためにはプーちゃんがものすごく邪魔である。プーちゃん小さくなれるんだから小さくならないかなぁ。マーニャたちの餌食になるかもしれないけれど。


『・・・いざっ!』


プーちゃんは勢いをつけて、一気に化粧水を流し込んだ。


「あ・・・炭酸の一気飲みは・・・。」


『2050!他にはぁ~いらっしゃいませんかぁ~。』

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