第6話

私とマリアは化粧水の検証をするために、ソフィアさんの元に向かった。

私の家の錬金釜だと完成までに3日かかるからだ。ソフィアさんが使用している錬金釜なら3時間あれば化粧水が完成するという。


「ソフィアさん、こんにちわ」


「こんにちわ。よろしくお願いします」


「いらっしゃい。こっちに来てください」


お店のドアを開けると、にっこり笑顔のソフィアさんと目があった。

すでに念話でマリアが話を通しているのでスムーズに案内してくれた。

案内してくれた場所はソフィアさんの工房でもある。

複数の錬金釜がところ狭しと並んでいる。いつもここで、薬を調合しているらしい。


「これと、この錬金釜なら今は何もセットしていないから使っても大丈夫よ」


そう言って、ソフィアさんは年季の入った錬金釜を指差した。

これなら3時間で10個ほどの化粧水を作成することができるそうだ。


「ありがとうございます。お借りしますね」


「いいえ。化粧水楽しみにしてますね」


化粧水が完成したらソフィアさんにもわける約束をしている。やはりソフィアさんも女性だからか化粧水をとても楽しみにしているようだ。

ソフィアさんは化粧水をつけなくてもいいくらい肌が綺麗なのに。


「じゃあ、マユ。さっさと作るわよ」


「うん」


今回、作成する化粧水は2種類。

まずは普通に作成する化粧水。もうひとつは「美味しくなぁれ」と魔力を込めて作成する化粧水の2種類だ。

ここにはボーニャがいないので、私だけだとどんな化粧水ができるのか検証をする予定である。


森の湧き水と薬草を準備する。

先日森で採取してきた湧き水と薬草はすべて売ってしまったので、今回はマリアの保管庫から持ってきてもらった。

マリアの保管庫は私の保管庫と違って性能がいいので沢山の種類を保管しておくことができるそうだ。

分量分の薬草と森の湧き水を錬金釜にセットして蓋をする。

準備はこれだけ。

簡単なものである。


「マユ、こっちの釜に力を込めてみて」


「うん。美味しくなぁれ」


セットした錬金釜の片方にだけ「美味しくなぁれ」と魔力を込める。

もう片方の錬金釜にはただ、化粧水ができるように魔力を込めるだけ。


「うん。これで後3時間待つだけね」


私たちはソフィアさんの工房を出る。


「マリアさん、セットし終わったからまた後でくるね」


「あら、ここで時間まで待っていてもいいわよ。美味しい薬草茶があるのよ」


にっこりと微笑みながらお店の中に3つだけある椅子を勧めてきた。どうやらここで休憩もできるようだ。


「・・・薬草茶ぁ」


なにやらマリアが苦虫を噛み締めたような顔をしている。どうしたんだろう?

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