第78話
「マユ、マーニャ様たちをいっぱい褒めてあげてちょうだい」
「えっ?でも、マーニャたちリュリュさんに危害を加えたんだよ?」
マリアがマーニャたちのことを褒めるように言ってきたが一体何故褒めなきゃいけないのかわからない。
いきなり飛び掛っていったのはマーニャたちだし。
リュリュさんに謝れっていうならわかるような気もするけど・・・。
「マユ、わかっていないわね。今まで彼氏いたの?」
「はあ」と大きなため息をつきながら腰に手をあてたマリアが確認してくる。
10歳以上も年下のマリアに言われたくないんだけど。
「一応いたわよ」
ムッとしながら答える。
「本当?その割には鈍いわね。もしかして、彼氏に浮気されてたりしない?」
「ぐっ!?」
マリア・・・痛いところ突いてくるわね。
「その表情。浮気されたのね・・・。しかも浮気相手に負けた、と」
「ふぐっ!?マリア、私の思考読んだ!?」
マリアは人の考えていることが分かる。というか心の声が無意識に聞こえてくるらしいのだ。
もしかして、思考が読まれたのかと勘ぐってしまう。
だって、ぴったりと当ててくるのだもの。
だけれども、マリアは首を横に振った。
「マユの思考を読まなくても態度からわかるわ。にぶにぶマユ」
「に、鈍くなんてっ!?」
「鈍くないの?では何でマーニャ様たちがリュリュさんに飛び掛ったかわかる?」
「わかりません・・・」
リュリュさんに飛び掛った理由なんてわからないよ。
そもそも、私マリアみたいにマーニャたちと会話できないし。
マリアは「駄目駄目ね」と呟きながらも説明してくれた。
「リュリュさんはね、マユに下心があるのよ。あわよくば・・・と思っているわ。だってマユって隙だらけだものね。私と違ってささやかな胸元ではないし?」
あ、なんかマリアから殺気が放たれているような気がする。
「だから、マーニャ様たちがリュリュさんに牽制したのよ。下心を持ってマユに近づくと容赦しないぞ!って。特にリュリュさんの場合は遊びで近づこうとしていたから余計ね。本気だったらマーニャ様たちの態度はもっと軟化すると思うけど」
いや、牽制って。
遊ばれるのは嫌だけどさ・・・。
「あ、ありがとう?マーニャたち」
というか、リュリュさんがいる前で大声で話していていい内容だろうか。
これって、マリアもリュリュさんに牽制しているってことでいいのかな?
リュリュさんは呆然とこちらを見つめていた。
顔と手と足がところどころ蚯蚓腫れになっているし、血が滲んでいたりする。
マーニャたちは私に褒められたことが嬉しいのか、喉をゴロゴロ鳴らしながら私に擦り寄ってくる。
ぐっ。可愛い。
牽制にしてはやりすぎだと思ったけど、こんなに可愛いんなら許してしまう。
もう一度マーニャたちにお礼を言う。
「ありがとう、マーニャ、クーニャ、ボーニャ」
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