彼等の事件簿

@asousui

第1話 探偵になりたい。

翠「あれ、この小説…。」

時刻は21時。

季節は秋下旬ということもあり広いリビングに床暖房を入れその中央で布団にくるまりスマートフォンをいじっている自分____麻生翠は小説ウェブサイトの中の一つの小説に興味を持った。

あらすじは、親に捨てられた高校生が探偵に拾われ、二人で事件を解決していくというなんともありがちなストーリー。だが、自分にはそれがどこか胸に刺さった。行動描写や感情描写、主人公のキャラ設定などがしっかりとしていて、今本当に起きていて、主人公は自分なのではないかと疑ってしまうほどに。そして思った。

翠「俺も…探偵やりたいな…。」

と。

瞬間、頭の中には自分が探偵になって様々な事件を解決している姿が浮かんだ。

即座にスマートフォンをいじり親友である松田透、透の双子の妹の薫、桃瀬日向、青谷美香に連絡を入れた。

翠『ねえ、俺探偵やりたいっ!みんなでやろうよ!』

瞬間、一つ既読がついた。

日向『え?急にどうしたの?』

どうやらそれは日向のようで文面で分かる通り随分と動揺しているようだった。

薫『ほんとだよ、毒キノコでも食べたんじゃないの?』

次は薫。こちらは動揺というより疑っている様子。

でも残念、そんなもの食べていないんだな。

翠『違う、小説に感化されたんだよ!』

透『馬鹿なの?』

真実を伝えた途端透から馬鹿なの?と辛辣な言葉が飛んでくる。

美香『まぁまぁ。そのくらいにしてあげな。でも楽しそうだね、探偵。』

五人の既読と返信がつく。

賛成してくれたのは美香だけだが。

透『うん、それは分かるよ。』

お?透も賛成派のよう。

薫『うーん、まぁいっか!』

青谷『探偵かぁ〜。』

続けて二人も。

日向『分かった。やろうか。』

よっし!

気分が上がる。

どんな事件があるのだろうか。

五人全員の了承を得る。

自然に頬が緩み、手を強く握りしめれば興奮で汗が滲んでいた。

翠「俺たちは探偵だっ!」

俺たち五人は探偵として新たな一歩を踏み出した。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る