第15話 投げれない!?
(ええー!? どうしてですか!? なんで俺が先発じゃないんだ!?)
俺は先発ピッチャーじゃなかった。
「那覇、おまえは昨日投げて球数制限があるから、今日の試合に投げることはできないぞ。」
「は~い。大人しくベンチでおにぎりでも温めておきます。やったー!」
那覇は少年野球独特の健康促進の球数制限のために今日のアメリカ戦に投げることができなかった。とても嬉しそうな那覇。
「なに!? 那覇くんが球数制限で投げることができないだと!?」
アメリカベンチでもタイガー・グッツが驚いていた。
「ラッキー! あのファイヤー・ボーイが出場できないんだったら、この試合アメリカの勝ちだな!」
「やったー! 楽勝だね!」
アメリカの監督も選手も大いに喜んでいた。
「バカな!? 那覇くんのファイヤーボールを打たなくて何が優勝だ!? こうなったら、この世界大会のスポンサーをやっている父に頼んで、何が何でも那覇くんを引き釣り出してやる!」
タイガー・グッツは何が何でも那覇と対決したかった。
「みなさん、がんばってください。ベンチで温かいお茶とおにぎりを用意しときますね。」
「ありがとう。那覇。」
日本のベンチで女子マネージャーのようにかわいく振る舞う那覇。
(出たい!? 出たい!? 出たい!? メジャーリーグのスカウトも見に来ているんだぞ!? 全米に俺の名前を宣伝する絶好のチャンスなのに!?)
俺のイライラのストレスは溜まる一方だった。
「プレイボール!」
アメリカの先攻で始まった。カーン! カーン! カーン! あっという間にノーアウト満塁。
「4番 タイガー・グッツくん。」
アメリカの4番グッツの登場である。
「出てこい! 那覇くん! 俺の対戦する権利があるのは君だけだ!」
カーキン! グッツの放った打球は放物線を描きスタンドに飛び込む満塁ホームランだった。
「すごい! グッツくん!」
ベンチで気楽な那覇は敵のホームランでも、グッツは友達なので喜んでお茶を飲んでいた。
(クソッ!? 俺が投げることができたら、アメリカなんかに1点もやらないのに!?)
俺の闘志は燃え上がる。
「焼きおにぎりがあるぞ!? どこから火を持ち込んだんだ。」
俺の闘志は焼きおにぎりを作るくらい燃え上がっていた。
つづく。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。