罪人の娘は初恋の花を咲かせる
結咲さくら
第1話
あの頃は、ただ孤独だった。
友も
私がこんな目にあっているのは顔も
つまり、私は罪人の娘だということだ。
産まれながらにこんな場所に閉じ込められているせいか、不思議とこの状況に不満を抱いたことはない。私をただ世話をするために
「お嬢様、どうされたんですか?」
「どうもしていないわ。
世話役の女性は何故か私のことを"お嬢様"と呼ぶ。私の両親は罪を犯したかもしれないが、名家の生まれだったのかもしれない。現に私が閉じ込められているこの場所は小娘一人を閉じ込めておくには質素な造りをしていても上等な家具が
「ねえ、マリア。今日は随分と冷えるのね。」
「それはそうですよ。もう外ではいつ雪が降ってもおかしくない季節ですからね」
「そう…外はもうそんな時期なのね。」
彼女が差し出したストールを
「外に出てみたいわ…」
そう、小さく独り言を
「いけませんよ。貴女は衣食住を保証されているとはいえ、罪人の娘なんですから…。」
マリアの口から出た"罪人の娘"という単語が思いの外、胸を
「そんなことを言って、釘を刺さなくても私はここから出たりなんてしないわ」
そう言いながら、ワンピースの
しかし、そうは言ってもマリアという見張りなく外に出ようとすれば、私の行動を制限するほどの
「それよりも身支度を済ませてくれない?」
「口が過ぎました。お許しを。」
マリアはわざと
「ねえ、どうして私にそんな言葉遣いをするの。普通もっと違うんじゃないかしら?」
「それは…貴女が生かされていることと直結しているから言えません」
マリアはいつもそう言って答えをはぐらかすのだ。
罪人の娘は初恋の花を咲かせる 結咲さくら @ichico_love
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