特殊ワンライ『牛丼』
今日は久々に唯に呼びだされて、唯の経営する裏通りの喫茶店に来た。
兄妹でテストメニューを考案しては実験台にされてる。
「セナー。今日のテストメニューはこれ!」
「なにこれ……」
「牛丼……いや丼ではないねー、ご飯使ってないし」
「牛鍋じゃん……?」
「でもほら、同じ盆の中にどんぶりで麦飯提供してメニューに『おすすめの食べ方』で載せれば」
「いや、それなら最初から載せて提供しろよ……」
「本当に、テストメニューとして考案した時はイケると思ったんだけどなぁ……」
何処をどう考えれば牛鍋定食みたいな物で牛丼を名乗ろうと思うのか。
「次のテストメニューは? これ、唯の考案でしょ? 晶考案のは?」
いつも、唯考案を食わされて、晶考案で口直しみたいになるテストメニュー開発。でも唯の突飛な発想で何時も美味しい思いをしている。
「んー、兄さん考案の今回のテストメニューは無いよ」
「んん……、晶のことだ、ちゃんとあっただろ。どうせ材料費で採算取れないだろうけど」
「そうなんだよ、確かに考案はあったよ、ただ、兄さんも牛丼を考えたんだよ。牛すじ煮込みを使った牛丼」
「美味しそうじゃん。裏メニューとして置いといてよ。ってかさ、捜査一課の人間とか来るんだし、多少割高でも売れそうだけどね」
「あー、確かに、兄さんに確認してみて許可得れたら来月からメニューに載せるよ」
「評判は聞かせてくれよ?」
晶考案の牛すじ煮込み牛丼が現場走り回ってる刑事に受けて売れま
くってるらしい。情報屋をしていて、裏社会の情報には目の細かい網み
たいな唯も表社会の食事に関してはザルだったようだね。
―――
僕が晶のモノになるまで続いたテストメニュー開発、久々に自信作が
出来たと呼び出されたから晶と二人で喫茶店に向かう道中、そんな話を
思い出した。
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