第550話 ミルテの願い

俺はクルーザーでミルテと共に出発する事に。

「まあ、旦那様、素敵な船・・・・クルーザーと言いますのね?中も・・・・素敵・・・・」

ミルテは他の女性と同じ事を言ってるはずなんだが・・・・どうしてセクシーに聞こえるんだ?


彼女は今ツーピースの服を着こんでいるが・・・・

スカートの切れ目が少し?長く入ってるぞ?

そのせいでそこに視線が・・・・


「まあ旦那様、このスカートの切れ目が気になります?」

いやなるでしょ?


ミルテは・・・・俺とさほど背の高さは変わらない。

なのでほぼ同じ目線なのだ。だから、彼女が俺の目の前に立つと、嫌でも目が合う。

だが・・・・少し切れ長?

その眼つきもセクシーだ・・・・

そして・・・・明らかに俺より脚が長い。

同じ人間か?

そう、例えばソファに一緒に腰掛けると・・・・明らかに俺のほうが背が高いのだ。

ちょっとここに格差を感じる俺。


は!俺はどうしてミルテをセクシーと結びつけてしまうんだ?


「旦那様、何処へ連れて行って下さるのかしら?」

そう言ってさりげなく寄り添ってくれるが・・・・

う・・・・

別にその、スカートの切れ込みが長いとかじゃないな。服も露出は控えめだし、体型が強調されているわけではないし・・・・


そしてさりげなくソフトタッチで触れてくるのだが、決して媚びたり、いやらしかったりではなく・・・・ごく自然に。

今までいなかった不思議な女性だ。

俺はミルテとクルーザーの中で、軽い食事を・・・・まあナイトラウンジみたいなもんだな。

そこでワインを飲みながらゆったりしている。

因みにこの時彼女はワンピースのドレスだ。


「まあ旦那様、このワイン?とてもおいしいですわ。」

「ああ、俺のスキルで買った。」

「そうですか・・・・あ、少し酔ったようですわ。隣に座りなおしてもよろしくて?」

「・・・・どうした?」

「酔っただけですよ?」

そう言って俺の隣に密着するミルテ。

そのまま寄りかかってくる。

う・・・・いかん。まだ夜は先なんだ!別に夜じゃないといけない事はないんだが・・・・


「何かそわそわしていますね?どうしましたか?」

・・・・鋭いな。だが彼女は勘違いを・・・・しているよな?

「・・・・君に見せたい空がある。」

「空、ですか?」

「ああ・・・・妻達からから聞かされているかもしれないが・・・・」

「いいえ、クルーザーで満喫するようには言われておりますが、特に何がとは・・・・」


「そうか・・・・ああ、そろそろデッキに行こうか?その悪いが・・・・目を瞑っていてくれ。」

「まあ、それでは歩けませんわ。」

・・・・どうしろと?

「そこはお姫様抱っこで?」

・・・・そういう憧れがあるのか?

そんな外観には見えんが・・・・ギャップが激しかったりする?


・・・・

・・・

・・


俺はミルテの希望通り、お姫様抱っこでデッキに。

そして、外の景色・・・・紫色に染まる、見事な夕焼け・・・・

もう日が落ちる寸前に見せる、神秘的な・・・・雲がまたいい感じだな・・・・

「ミルテ、俺からのプレゼントだ。見てくれ。」

そういってミルテに見てもらったが・・・・

俺はびっくりしてしまった。

何故なら・・・・ミルテは泣いていたからだ。

「ど・・・・どうした?こういうのは嫌だったか?」

「いえ・・・・またこのような景色が見られるなんて、夢のようですわと思ったのですが・・・・何故か泣けてしまいました。」

これで泣けるとか・・・・この後どうしたら?

それに、昔の事は別に聞かなくてもいいが・・・・ミルテの過去に何があったんだ?

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