第404話 暴走
机が吹っ飛び、壁に激突する。
流石しっかり作った壁と机だ。俺が勢いよく蹴ったというのに、壊れない。
「口田様?どうされた?」
「士門さん?落ち着こう、ね?」
「何だよみんな揃って!俺がどれだけ苦労して他国を救ったと思ってるんだ!スキルをフル稼働させないとあれだけのアイテム作れないんだ!誰も俺に代わって作れないじゃないか!折角戻るべき祖国があるっていうのに、何で戻らないんだ!」
そんな俺の豹変ぶりに驚いたのか、イベッテが慌てて部屋から出ていく。
バルトサールが驚いた表情で俺を見ている。
イベッテが出ていったとき、誰か入ってきた?
俺はさらに机を持ち上げ・・・・・放り投げようとしたが、その時背後から
「だめーーーー!」
そう聞こえた後、誰かが俺の背中にしがみついてきた。
「邪魔だ放せ!」
「放さない!しっかりしもん!あんたって、そんなに弱い人間だったの?」
「お前らこの世界の人間に何が分かるって言うんだ!」
俺は机を放り投げた。
「ヴィヴィ嬢、口田様はどうなされたというのだ?こんな事は初めてだ・・・・」
「付き合いの短い私に聞かれても・・・・今はしもんを止めないと!様子が変だ!目が真っ赤だし!視線がおかしい!」
「あーーーーーーどいつもこいつも!戻れるんだから戻れよ!何で戻らないんだ!俺はもう戻れないんだ!!!!あああああ!!!!!」
「佐和さん!世津さん!三津枝さん!貴女達なら同郷でしょ!何か分からない?」
「遅くなったわ・・・・同郷と云っても、元々士門さんは・・・・私達の誰とも親しくなかったのよ?」
「うん・・・・たまたま巻き込まれて・・・・私達もだけど、私達はほら、周りは親しい人達ばかりだったから・・・・」
「士門さん・・・・時々独りになりたがってたわ!私達と結婚し、子を授かり、我が子を抱いてからも!きっとどこかで孤独なんだわ。ちょっと寂しいけど・・・・そう、これは皆の責任!ここの皆は知らず知らず、士門さんに頼り切っていたのよ!そのせいで士門さんは今までずっと・・・・今こそ士門さんを助けないと!」
・・・・何だか周りが騒がしいうえに、数人がかりで俺を押さえつけようとしてるが・・・・無駄だ!
「がーーー!何が分かるって言うんだ!!」
「ごめん私にはわからない!だけどそれじゃあいけないのよ!」
「何だ貴様は!指図するな!邪魔すんな!ふがー!」
俺はよく分からないままへばりついてる奴らを引きはがすが・・・・目の前に来た奴が・・・・
口づけをしてきやがった。今更色仕掛けが通用すると思ってるのか?だが・・・
「しもん落ち着いて、ね?私の目を見るのよ?そう・・・・それでいいわ・・・・大きく息を吸って・・・・そう、そこで吐くのよ・・・・」
何を・・・・した・・・・力が・・・・抜けて・・・・いく・・・・
「ごめん、私の治療でかなり無理したって聞いてた。今は休んでね。士門はレベルが高いから、普通じゃスキルが効かないって聞いてたから・・・・これしかないの。」
「ヴィヴィありがとね・ボクがもっと早く気が付くべきだったんだけど・・・・ますたーに付けてる精霊にも反応しなくなっちゃったらしく、だから知らせてくれたんだけどね・・・・ますたーは今、精神がかなり不安定になってるね。以前もあったけど、スキルの使い過ぎだね。でも流石だねヴィヴィは。よくボクに合わせられたよね?」
「これでもパールメース帝国では一番の魔法の使い手だったから。あ、その皆さんごめん。迷惑かけて・・・・今までありがとう、しもん。貴方と結ばれたらって思ったけど・・・・さよなら!」
ヴィヴィが去っていく・・・・
「行くな!!!此処にろ!傍にいてくれ!!!!」
何かをつかんだ気がしたが・・・・目の前が真っ暗になっていく・・・・
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