第179話 奴隷商

「本日はようこそおいで下さいました。」


建物に入ると、どういう訳かここの主?が挨拶・・・出迎えてくれた。


「ノエラ商会の店主、ノエラ・バラチエでございます。」


「あ、これはご丁寧にどうも、口田士門です。」


何故か名乗ってしまった。


この女性、何故か目がついついいってしまう。

俺はこのノエラという女性をじっと見つめる。


髪の毛は・・・・見事なプラチナロング。

背は女性としては高い方、俺より少し低い程度・・・・俺166センチ。多分163センチぐらいか?

スラッとした体形・・・・?

顔も綺麗で・・・・30前か?真っすぐ射貫くような眼は、神秘的だ。

何か違和感が・・・と思ったのは、彼女の綺麗な顔・・・・じゃなく、その目だ。


片方は、燃えるような赤い目。もう片方は、青い目。

そう、彼女の眼は、それぞれ色が違う。

コンタクトでもしてる?と思ったが、此処にはコンタクトなぞ無いだろう。


そして・・・・その姿も・・・・何故かどう見ても浴衣を着ている。

足元は浴衣に似合いそうな草履だし。


そして・・・・彼女は、床に膝をついたと思ったら、正座をし、さらに両手を前に出し・・・・所謂、最敬礼をし始めたではないか。


そして・・・・


「口田様のような尊き御方が、私如きと口を利くのも申し訳ない所存でございましょうが、先程のご無礼、どうかお許しを。」


う・・・・なんだこれ?意味不明だ。


「えっと・・・・ノエラさん?俺は普通にここがどういった所か、知りたいから尋ねたのであって、そのような対応をしてもらう必要はないんですよ?むしろ立って、普通に接して下さい。」


ノエラが、俺をさも珍しいものであるかの感じで見つめてくる。


「口田様のご厚意に感謝いたします。」


すると立ち上がる。


うーん・・・・動作に隙が無い。

隙というか・・・・無駄がない?洗練された動き。


「えっと・・・・ここは奴隷を扱ってる、でよかったよね?」


とまあ一応聞いてみる。


「間違いございません。当商会は奴隷を専門に扱う事で、商いをさせて頂いています。」


・・・・うーん・・・今一表情が読めんな・・・・



「え・・・・どんな奴隷を扱うの?」



「当商会は、国が定めた指針に則り、正規の奴隷を扱っております。」


「え・・・・具体的には?」


「当商会で扱う奴隷は、借金奴隷、でございます。」


「借金奴隷って・・・・具体的には?」


「男性の場合、快楽に金銭をつぎ込んだ挙句、借金をし、期限までに返済できなかった者、装備を新調したはいいが、金が無くなり、借金を返済出来ず、奴隷になった者、女性の場合は・・・家族の為に、自ら犠牲になる娘、親に売られる娘、男につぎ込んだ挙句、借金、もしくは男の借金を押し付けられ、返済できず・・・・」


「あ、ありがとう・・・・色々いるんだね。」


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