第156話 夢を見た・・・・妻子と共に

亜由あゆ、明日の準備は終わったのか?」

「ええあなた、後は車に積み込むだけよ。」

「そうか。伸吾しんごの荷物は?」

「私のカバンの中にあるわ。」


 俺の名前は口田士門。

 今会話をしているのは、妻。

 そして息子と3人で田舎へ・・・・妻の実家へ向かう所だ。

 翌日・・・・まだ暗いうちに出発、夕方前に到着した。

 この時・・・・こんな事になろうとは、夢にも思わなかった・・・・


 ・・・・

 ・・・

 ・・

 ・


「お母さん、一寸買い物に行きます。主人はこのまま寝かせてあげて。ずっと運転していたから。」

「わかったよ。子供はどうするの?」

「起きたら泣くから、このまま連れて行くわ。」

「わかった、気をつけて。」


 妻は長距離運転で疲れ果てた俺を自分の実家に残し、近くの薬局へ息子と買い物へ向かった。

 その帰り道・・・・信号無視をした暴走車にぶつけられ、車は大破。

 妻と息子は即死した。

 寝ている俺を起こすお義母さん。

 様子が変だ。

 すぐ起きて事情を聴く。

 急いで病院へ向かったが、そこで見たのは変わり果ててしまった妻と息子だった。


「亜由!伸吾!どうして・・・・」


 俺は泣いた、ひたすらに。


 ・・・・

 ・・・

 ・・

 ・


 あれから数年後、悲しみの中辛うじて生きている。

 会社へ転勤願を提出し、受理。

 妻の実家があった付近へ移動する事となった。

 そして・・・・


 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


 夢か。

 久しぶりに見たな。

 そして・・・・ああ、現実は厳しいな。

 結局異世界へ飛ばされるなんて。

 起き上がると、王都の・・・・城の中で俺が寝泊まりしている部屋だった。

 あれ?確かダンジョンにいた気が・・・・

 そうだ、抑えがきかなくなりさわに酷い事をしてしまったんだ。

 欲望のままに・・・・抱きしめ唇を奪い、胸をもみ、さらには股間をも弄ってしまった。

 最後は押し倒そうとして・・・・そこで記憶がないな。

 俺は起き上がり、部屋を出た。

 そこには、女性陣5人がそろっていた。


「しもんさん、もう起きて大丈夫ですか?」


 せつが聞いてくる。


「迷惑かけたな。」


 俺の様子がおかしい事に気が付いた5人。


「しもんさん、その、私、気にしていませんわ。むしろその・・・・さいg「すまなかった!謝って済む事ではないが、先ずは謝らせてくれ!」oまで・・・」


 驚く5人。

 さわが返答する。


「しもんさん?私はむしろ嬉しかったのですよ?もっと・・・・最後までしてくれてもその・・・・よかったのですわ。」


 さわが顔を赤くしながら言う。

 そんな事はないだろう。

 きっと俺に気を遣っているんだ。


「いや、沢山の人がいる目前で、いきなり本人の同意を得ずにしていい事ではない。俺は・・・・最低な人間だ。」


「そ・・・・そんな事はありませんわ!今まで私達の方こそしもんさんに全てを、責任を無意識に押し付けていたのですわ。むしろ謝るのは私達の方ですわ。」

 そう言ってさわが俺に近づき、そっと抱きしめてくる。

 俺は怖くなり、さわを突き飛ばす。

 目を見開く、わさ。


「す・・・・すまん・・・・所で・・・・どうやってここに戻った?」


 みつえが顔を青くしながら答える。


「その・・・・ゲートを・・・・使いました・・・・」


 俺が持っていたカバンの中に入ってたからな。

 ああ、ゲートを回収に行かないといけないな。


「そうか・・・・」


 俺は剣を装備し、白河さんから貰った服を着てゲートが置いてある場所へ向かう。


「このゲートか。」


 俺はゲートに向かう。


「しもんさん?」


 イベッテがたずねる。


「おいおい、ゲートが置きっぱなしになったまま、放っておけないだろう?回収しに行く。」


「待って!!私達も向かうわ。」


「わかった・・・・先に向かうから、準備ができ次第、来てくれ。」


 白河さんから貰ったカバンをせつに渡し、ゲートを使う。


 ダンジョンに到着し、ゲートを使えないようにし、仕舞う。


 この日を境に、クラン”御国台”から士門の姿が消えた。

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