第112話 付与というスキルが増えていた
「何だこれは・・・・」
親方の感想だ。
出来上がったのは、ショートソードというか、もう少し小ぶり・・・・ミスリルが少なかったので、ダガーみたいになった。
そして、複数の魔法が使える。
俺は思った。
何で回復魔法と浄化・・・・クリーンの魔法が使える武器が作れたのか?
魔法をこめただけではそんな事にはならない。
普通は付与というスキルがないといけないらしい。
俺はないぞ?
そう思ってたけど、自分のステータスを確認すると、最後の所にあった。
いや、元々無かったぞ。
親方に聞くと、詳しい条件は知らないが、スキルに関係する行動を何度もしていると、スキルが増える事があるらしい。
例えば俺が持っている剣術スキル。
剣なんて使った事ないのに何故あるのか?
よくある理由は、特に男子は幼い頃に、棒とかを使ってちゃんばらした事があるだろう。
ああ言った行動がスキルに影響するらしく、今回増えた付与のスキルも、そう言った何かの原因があったのではないか、と。
さて、元に戻るが・・・・ミスリルを使っている事もあって、このダガーの切れ味は抜群だ。
投げてよし、刺してよし、切ってよし。
しかも鉄や鋼で打った剣と違い、ミスリルで打った剣。
軽いし、耐久度もある。
だが、加工が難しく、並の鍛冶師では歯が立たないらしい。
だから、俺がミスリルで剣を打った事に、親方は相当なショックを受けたらしい。
そう、俺は親方以上の鍛冶師、らしい。マジっすか?
だが、一つ言える事は、親方に教えてもらい、場所を借りなければ剣を打つ事なんてなかったはず。
親方は、白河さんの剣を名残惜しそうに返してくれ、そして、あの精霊剣”ロンダーヴ”を渡してくれた。
使い手が居ない・・・・扱えるやつがいなかったが、俺なら使えるから、と。
いいのだろうか?俺は既におっさんソード(仮)持ってるからなあ。
だが親方曰く、持っていれば何かの役に立つだろう、との事。
金を払おうとしても、受け取ってくれない。
仕方ないので、無期限で白河さんから貰った剣を貸す事にした。
またここに何度も来る事になるだろうから、と。
親方は感謝してくれた。
いやあ、自分の打った剣より出来の良い剣を見て、機嫌が悪くなると思ったが、
「俺もまだまだだ!もっと精進せねば!」
と逆に張り切っていたからなあ。
彼の名はガエル・バルリエントス。
この国一番の鍛冶師であり、バルリエントス工房の親方であり、珍しい精霊魔法を使えるらしく、低確率ながら剣に精霊魔法を組み込む事が出来るらしい。
俺は王都へ来るたびに、彼の工房へ向かう事となった・・・・
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