第60話 女性は堅実、男子はチャレンジャー

 御国台の生徒と教師、女性は全員クランの拠点である館で暮らす事になった。


 どうやら宿と、食事が悪かったらしい。

 そりゃあ日本にいる時の事を考えると、天と地程の差があったんだろう。

 幸い僕達4人はお金を気にせず、高級宿に泊まった訳だけれど。


 そして、今後どうするかという問いには、誰も答えられなかった。

 まあ、そうなるわな。

 何せこの街で自分が何をできるか、到着して1日や2日ではわかる筈もないし。

 ここに来た女性の中で、1人の女教師が発言。


「折角田口さんが、このような立派な拠点を用意して下さったのですから、暫くはここを中心にこの世界に慣れていこうと思っています。それに、どういう働き口がるのか、私達教師なら何処かで教師として働ける場所があるのか、また生徒の今後をどうするか、すぐには決められないでしょうし。」


「はい、わかりました。皆さんに渡したお金は、贅沢しなければ3年程生活できるそうです。暫くはお金に不自由しないでしょうから、じっくり考えて下さい。」


 女性は堅実だな。そして現実に向き合っている。

 それとは別に、男子だな・・・・


「あ、口田さん、やっぱりダンジョンとかあるんですか?一寸冒険してみたいなあとか。」


 ・・・・まあ男子なんてこんなもんか?

「あるらしいけれど、準備もしないで向かっていったら、たぶん死ぬよ?」

「やっぱあるんだ、異世界すげー!」


 ダンジョンとか、普通に怖いと思うぞ。

 考えてみてほしい。

 もし真っ暗な洞窟に、ライトが無く、あるのはポケットに入ってるライターのみ。

 それを明かりにして中へ入る。

 道中何が飛び出してくるか分からない、一寸先は闇の恐怖。

 無理だな。

 何だかんだで、兎に角ここに馴染んでからにしてくれと言っておいた。

 まあ、暫く男子5名は、離れで暮らしてもらう事にした。

 万が一があったら困るしね。


 え?僕?だってこの建物僕の所有物だよ?

 何で僕が出ていかないといけないのさ?

 もしそうなれば、申し訳ないがせつ達以外は全員出て行ってもらう事になる。

 まあ、今の所そう言う事にはならないと思うんだが、もし何か変な横やりが入って僕にとって望ましくない方に話が行ってしまえば、もしかすると・・・・

 まあ、そうなったとして、恐らく出て行っても路頭に迷うだけだ。

 特に女性教師はその辺りをよく理解しているはずだ。

 若干男子生徒に不安があるものの、今の所こっちに来てくれた5名は空なりに分別は持ち合わせていそうだし、ぶっちゃけると僕の意に沿って行動した方が、結果的に自分にとって理があるとわかる程度の判断力は持ち合わせているはず・・・・と思いたい。

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