第52話 繁在家 世津

落ち着こう。


2人の反応にドキドキしたけど。いやあ、みつえ、背が高いから、自分より背の低い男なんて、相手にされないと思ってたので、ちょっとうれしかった。


更にさわ。


いやー年が近いから、あのセクシーさには昇天してしまいそう。


あ、1人だけ行かないのはあり得ないよな?最後の部屋、せつの部屋に。

ノックをすると


「はい、誰でしょうか?」


「あ、口田だよ?ちょっといいかい?」


「あ、はい、どうされましたか?何もないですが、よろしければお入りください。」


相変わらず丁寧な対応だ。いつもこんなかんじだから、あ、みつえには違うか。

もう少し砕けてくれてもいいんだけどなあ。


「悪いね、寛いでるとこ邪魔して。」


「いいえ、むしろ歓迎ですよ?あ、それでどのような用件でしょうか?」


あ、そうそう、あまり気にしてなかったけど、みつえはスウェットみたいなパジャマ着ていて、セクシーさはなかったんだけど、今目の前にいるせつは、いかにもお嬢様と言った感じのゆったりした寝間着姿だった。


「あの、その・・・恥ずかしいのであまりジロジロ見ないで下さい・・・・」


はっ!いかん、注意しないと。


「そういえばせつは2人に自分が勇者だと伝えてるのか?」


「・・・・いえ・・・・誰にも伝えてないんです。もし、知られたら、今の事態が私の所為と知られてしまうのが怖くて・・・・」


・・・・難しい問題だな。しかし、今後せつはどうなるんだろう?あのくそ女神がわざわざ召喚したんだ。必ず何かやらされるだろう・・・・


「このまま知られずに済ますか、どこかで打ち明けるか、難しいな。」


「はい・・・・」


「ああ、そうだ、せつ、君には話しておこうと思うんだが、自分のステータスやスキルは確認できるのかい?」


「えっと・・・ステータス?スキル?いえ、知りません・・・・」


あのくそ女神、自分で召喚した勇者に何も言ってないのか?


「そうなのか?いや、せつはこれから色々大変な事になるだろうから、この世界の仕組みとか、知っておいたほうがいいんじゃないかと思ってね。」


「・・・・そうですね。あの・・・・もしですけど、しもんさんは、私がその・・・・勇者としての行動をしないといけなくなった場合、一緒に居てもらえないでしょうか?」


・・・・これはどういう意味だ?

もしかしてせつは俺の事・・・・いやいや、単純に、勇者として活動するから、お供をしてほしい、って事だよな?


「俺でよければ、最後まで付き合うよ?」


「ほ、本当ですか!良かった・・・嬉しい・・・・」


あ・・・・よく見ると、せつの顔、泣きそうじゃないか。なんだかんだ言って不安なんだろう。


俺は思わず後先考えず、抱きしめてしまった。


「大丈夫だ。俺はせつから離れたりしないよ。せつから離れない限りは。それにきっとみつえもそうだろう。さわもついてきてくれると思うぞ。」


せつも抱き返してくれるけど、

「しもんさん?みつえって・・・いつの間に?それにさわ?前重先生ですか?」


ジト目で見てくるせつ。そんな目で見ないでくれよ。

豆腐メンタルの俺の心はくじけそうだ。


「あ、ああ、その事か。俺がせつを名前で呼んでるので、自分も名前で呼んでほしいって言われてな。今後の事を考えると、3人とはもっと親密に付き合いたいからさ、名前で呼ぶ事にしたんだよ。」


「親密・・?・・・・・・・キャー!」


突然突き飛ばされる俺。せつの顔は真っ赤だ。


それにしてもいい匂いさせてるなあ。くらくらする。

前の2人もそれぞれいい匂いだったけど、どうして女性はいい匂いがするんだ?


あ、そうだ・・・一応ステータス見せてもらおうか?



<名前:繁在家 世津>


<種族 :人間>


<年齢 :18>


<性別:女の子>


< LV :9>


<職業:学生:冒険者>


<力 :E>


<体力 :E>


<知力 :A>


<精神力 :D>


<俊敏 :D>


<魅力 :A>


<運 :F>


<保有スキル>


清掃・料理・裁縫・刺繍・音楽・装飾・社交・美術・歌唱・護身術


<譲渡スキル>




<称号・賞罰:勇者・冒険者・オークスレイヤー>


<所属>


パーティ”吹奏楽と口田”ランク F



クラン”御国台”    ランク F



おお!流石・・・・知力と魅力がAだ。


だが、運がないな・・・・ああ、くそ女神のストーカーか。確かに運がない・・・・


俺はせつに、せつの情報を教えた。


「ステータスってどうなってるのでしょうね?」


「どういう事?」


「私力ないですけど、たぶん強いのですよね?このデータを見る限り、そんな強そうには感じないのですけれど。」


・・・・うん、俺もそう思った。


レベルが関係してるのだろうか?



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