第17話 救出作戦

改めてせつの姿を見る。

気にしてなかったけど、他にいる女性も、皆ジャージ姿だ。


そもそもここに送られてきた時は、朝早かったはず。

しかも今は夏休みだよ?

何でこんなに早く、学校に居るんだよ?


「なあせつ、何でこんなに朝早くから、学校にこれだけ居たんだ?そもそも夏休みで授業ないだろう?部活にしても、早すぎる時間だし。」



「その事ですが・・・・御国台高校みこくだいこうこうでは、7月の終わりに、主だった部活動は、合宿を行っているのです。発表会や、記録会、大会等のある場合は別の日になるのですけれど。」


「学校で合宿?それは大変だ。」


「ええ、祖父の意向ですので仕方がないのですが、運動系の部活動は、主に体育館、文科系は、それぞれ活動する場所が、主な宿泊先です。吹奏楽部は、視聴覚室、音楽室と割り振られました。」


「えっと・・・・吹奏楽部ってそんなに多いの?2つ部屋使うほどに?」


「男女別の部屋で寝泊まりするせいですね。体育館は・・・・夏は大会が多く、そんなに寝泊まりしている部活はないので、実質文科系が中心となって、活動しています。」


・・・・何か、さらっとトンデモ発言あった気がしたけど、やはりせつはお嬢様だった?


「しかし体育館での宿泊って・・・・暑いでしょ?」


「わが校は体育館も冷暖房完備です。体育館は男子生徒が、柔剣道室は女子生徒が寝泊まりしています。」


「えっと・・・・寝泊まりって・・・・結構ここに転送?された時って、生徒沢山いたの?」


「たぶん200人ほどがいたと思います。」


・・・げ・・・・200人とか・・・・


これに周りの人も含めると、大変な事になりそう、もう死んでたらの場合だけど。

あのくそ女神の話から推察するに、経験値100倍の時にたくさん人が死んでたら、それだけ魔物が、強くなってしまってるって事だよな。僕より強くなってなければいいけど・・・・


「ここには女子生徒しかいない?先生は?男子生徒は、どうしてるか分かる?」


「残念ながら、あまり詳しくはわかりません。私達は異変があった時、寝ていましたので・・・・そして、男子生徒ですが、吹奏楽部に関しては、4人だけで、全員魔物に・・・・」


そう言って、奥を見るせつ。

ああ・・・・あの寝かせられて、頭から布を被せられてるのは、男子生徒だったのね。


「そして・・・今日食事の・・・当番だった部員と・・・・お花を摘みに・・・・行っていた・・・・部員は・・・・」


お花を摘みに・・・・?トイレか?とここまで言って、目に涙をためるせつ。そして静かに泣き出す。

思わず僕はそんなせつを抱きしめてしまった。


「もう大丈夫、僕が来たからには、目の前にいる人はもう、誰も死なせはしないよ。・・・・よく頑張ったね。」


今まで気丈に振舞ってたのか、ここにきて頼れる存在を見つけたのか、せつは激しく泣きだした。

何といってもまだ、こんな事に耐えれないだろう。

ちょっと?女の子を抱きしめて、色んな意味でドキドキしながら、しばらく胸を貸した。


そして暫く経ってから、せつの後ろから遠慮がちに、声をかけてくる女子生徒がいた。



「あ・・・あの、繁在家 部長はんざいけ ぶちょう、そろそろいいですか?」

小柄な・・・・女子生徒が遠慮がちに、声をかけてきた。顔を真っ赤にしながら。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る