三話 装備に不満を覚える男

 ゴブリンを魔法の実験台にしたあと、草原に放り出されたときのようにまた目の前が真っ白になった…………。

 気がつくと今度は街中にいた。

「さっきのはチュートリアル専用の空間だったってことか?そうだとしたらちょっと不親切じゃないか?」

 そんな不満を抱いてしまった。でもこれは正直仕方ないと思う。なんせ魔法以外の戦闘方法について一切解説されてないのだ。

「とりあえず魔法以外の戦闘もしたいし、そのための準備として装備を確認しようかな。」

 そういうとステータスの装備欄が自動で表示される。こういうところは融通が利くので便利である。ちなみに今の俺の装備はこんな感じである。



 名前  ヴァイス

 武器  見習い導師の木の杖

 頭   なし

 胴   見習い導師のローブ

 腕   なし

 足   見習い導師のブーツ

 装飾  なし



「なんか思ってのと違う………。」

 俺はここまで後衛職らしい見た目とは思っていなかった。

「魔法剣士みたいなのを目指したいからなぁ。導師でも使える剣とかないかな。装備売ってるお店を探して見てみるか。」

 そういうわけで早速お店を探しに行くことにした。ついでにまわりにいる人たちの格好にも目を向けてみる。戦士が5割、狩人が3割、導師が2割といった感じのようだ。やはり、仲間との連携が前提として考えられる導師は割合的に少な目のようだ。逆に一人でも戦いやすい戦士は人気のようである。

「予想通り、戦士は人気っぽいけど案外導師もいるんだなぁ。」

 そう、導師は導師以外の人と一緒じゃないと戦うのが難しいとはされているが決して役に立たないというわけではない。むしろ、魔法による攻撃そのものは強い。ただ、防御力と素早さが低いために一人では戦うのが大変というだけである。

 そんな基本情報を確認しつつ適当に歩いていると

「ここ……かな?なんか剣のマークあるし。最悪違っててもすぐに出ればいいか。」

 そんなわけで中に入ってみると、そこには武器ばかりが置かれていた。それも戦士や狩人が使うものばかりである。試しに手に持とうとするとハジかれてしまう。そこで近くにいる細身で線が薄い男性店員に導師でも扱える剣があるか話を聞いてみたところ………

「当店には置いてございませんが、ここではお取り扱いしておりません。しかし、冒険者ギルドの裏手にある通りで異国の武器を扱っているという話は聞いたことがあります。」

 思ったよりも丁寧に答えてくれた。ならさっそく見に行こう。ついでにこれから世話になるであろう冒険者ギルドにも行ってみたいし。ちなみに冒険者ギルドは外でモンスターを倒したり、護衛依頼を受けたりできる仕事斡旋機関である。ゲームの設定上プレイヤーは皆冒険者という立場になるため、ギルドとの関係は切ってもきれないものである。

 というわけで先に冒険者ギルドに向かってから裏通りに行こうとしたのだが、そもそも冒険者ギルドの場所がわからなかった。そこで通りすがりの人に訪ねてみた。話しかけたのは戦士の格好をした人である。

「すみません、ちょっと場所を尋ねたいんですが。」

「おう、どうした。どこに用があるんだ?」

 いかにも快活そうで親切そうな人だ。赤髪の短髪で、背には大人一人分に相当しそうな大きさの大剣を背負っている。

「実は冒険者ギルドに行きたいんですけど、場所がわからなくて。」

「そうか、俺もこれからギルドに行く予定だから一緒に行くか!……って、そういえば名前聞いてなかったよな?俺はブロス、見ての通り戦士だ。お前は?」

「俺はヴァイス、職業は導師です。」

「あー、別に敬語はいらないぜ。なんとなく肌に合わないから。よし、じゃあ改めて冒険者ギルドに向かうか。」

 そういって進み始めた彼のあとをついていくのだった。





 すみません、もう三日坊主になってました。これからも不定期にはなると思いますがなるべく間を空けないように気を付けます。



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