余録(あとがき&データ集)

★★ 第一部あとがき ★★

 こんにちは、こんばんは、おはようございます、はじめまして。

 作者の怪奇!殺人猫太郎です。「怪奇」が名字で、「殺人猫太郎」が名前、「!」は「つのだ☆ひろ」の「☆」です。『コピー&ペーストで成り上がる! 底辺講師の異世界英雄譚』、いかがでしたでしょうか。

 ここまでお付き合いいただいた方には感謝を。お楽しみいただけたら幸いです。

 あとがきから読む人たちは、あとがきを見終えたら、ブラウザバックして第一話から読んでいたいただけるとうれしいです。


 以下、あとがきらしく、制作裏話や、今後の展望について少し書いてみます。


 本作は、「小説を書くリハビリ」のつもりで書き始めました。

 昨年の春頃にちょっと病気をして、体力がひどく衰え、長い文章を書くのが億劫になっていたんですね。で、このままじゃまずいと思って、「とりあえず気楽に書ける小説を」と書き始めたのが本作です。


 そんなわけで、本作の基本コンセプトは「気楽に」です。

 作者は気楽に書けて、読者は気楽に読めるものを目指しました。毎日少しずつ気楽に更新し、肩肘張らない内容でいこう、というわけです。


 そこで、気楽に書くために邪魔なものを徹底的に排除していこうと思いました。

 最初に投げ捨てたのは、「良いものを書こう」という気負いです。

 頑張ろうとすると手が止まるので、とにかく頑張らない。無理に面白くしようとしない。淡々と自然体で手を動かす。


 その次に捨てたのがプロットです。

 緻密な構成や伏線なんか考えていたら、すぐに手が止まってしまいます。とにかく手を止めず、その場その場で面白げなことを書いていこう、と思いました。


 とはいうものの、完全に何も考えずに書いていくと、それはそれでたいへんです。

 そこで、いくつかのコスト軽減策を考えました。大きなものとしては、以下二つ。


 一つは、「作中に出てくるデータ(数値)類を、なじみ深いものにする」というもの。

 お気づきになった方もいらっしゃると思いますが、本作のステータス表記は、某「国産TRPGの金字塔」作品に近いものになっています。

 そうすることで、自分の中でキャラクターのイメージを掴みやすくなり、そのキャラが出来ること・出来ないことを考えやすくなるんですね。


 ちなみにリリアの能力値は、どこぞの亡国の王子のステータスを、やや弱体化させたものです。エイジは灰色の魔女の器と、黒の導師の弟子の間を取ったような能力値ですね(各元ネタキャラの数値はうろ覚えだったのですが、あとで資料を見たら意外と合ってました)。


 もちろん、パクりになってはいけないので、スキルシステムなど、細部はかなり変えていますが。

 余談ですが、ザックやフェルナールが持つ〈英雄の資質〉は、「超英雄ポイント」が元ネタ。だいたいアレと同じ働きをするものと考えてください。


 それはさておき。

 もう一つのコスト軽減策は、「全体の分量をあらかじめ決めておく」です。

 今回はまず、「本一冊分(十万〜十二万文字くらい)くらいの分量を書く」ことを先に決め、作品全体の「波」——分量配分を意識することにしました。


 最初の一万文字でメインキャラの紹介をし、次の二万文字で主人公の目的(物語全体の目的と、最初に目指すべき小目標)を確定させる。次にこまごましたエピソードを経て、中盤の山場になる事件を起こし、九万文字までに解決。最後に大きな事件を起こし、十二万文字くらいに収める。

 これが当初意識していたプランでした。


 実際の文字数を見てみると、中盤までは意外とうまくいっているのが分かります。

 第一章の最終話である18話の時点で、28,829文字。ここでエイジの目標が固まります。

 中盤の山場となるバウバロスとの対決が終わるのが、第四章の最終話である59話。この時点での文字数は98,780でした。冗長な場面がいくつかあったこともあり、軽く一万字ほどオーバーしていますが、おおむね許容範囲です。


 ここまでは順調だったのですが、この先が大変でした。

 三章、四章を執筆していた期間は、ちょうど仕事が忙しかった時期でもあり、本当に先のことは何も考えずに書いていました。

 先のことも考えて新しい設定や、思わせぶりな用語を盛り込んでいかないと、という意識はあるんですが、魅力的な新設定を考える余裕がありませんでした。

 苦し紛れに〈竜の娘〉という言葉を盛り込んでみたのですが、それが何かはまったく考えていません。「星の聖剣」とか「直視の魔眼」のような、なんかぱっと見でカッコよさげな言葉を入れておこう、というノリで入れた言葉です。


 本作には、そういうノリ一発でばらまいた伏線モドキが大量にあるのですが、最終章ではそれらを全回収する作業が始まりました。

 一番の難物であるリリアの正体については、最終章に入る直前で構想はまとまっていたのですが、なにぶん説明しなければ(整合性をつけなければ)いけない事柄が多すぎる。

 それと並行して、最後の事件も進めていかなければいけません。さらに、これまで登場した脇役キャラにも、何か出番を与えなければと思いました(特にジール。当初の目論みほどは活躍させられなかったので、最終章にも何か見せ場が必要だと判断しました)。


 こうなるともう、書いても書いても終わりません。最大で十二万字くらいだと考えていたのに、気がつけば十五万字を突破。「三章、四章をもっとコンパクトにしておけば!」と後悔しながら手を動かし続けるハメになりました。


 この先改稿することがあれば、三章四章はガッツリ削りたいところです。村を経由せず、そのまま遺跡に突入で良いですよね、あそこは。

 そのぶん、リリアとのデートとかを入れた方が作品の完成度は上がりそうです。


 あと改稿するなら、フェルナールは序盤に顔見せさせておきたいです。

 本作、ストーリー展開はアドリブで決めているものの、登場キャラは最初にある程度決めていました。

 フェルナールは「領主の次男坊か三男坊。国の秘密任務を担っており、エイジの秘密を知った上で、なにかと手助けしてくれる」というキャラの予定で、かなり早い段階で登場させるつもりでした。

 しかしズルズルと出番が遅れ、最終章でやっと、竜騎士という後付け設定をひっさげての登場となりました。作者の構想内では最古参の一人なのに、とってつけたような登場になってしまったのが少し残念なんですよね。


 なお、初期構想にいたキャラは本編でほぼ全員使い切っているのですが、一人だけボツになったキャラがいます。「元娼婦の魔法使い。リリアにエロいことを吹き込む」という設定だったのですが、使いどころが難しく、彼女が担っていた役割はバーバラとイリーナに引き継がれていきます。

 最初はもっとエロに寄せた作品にするつもりだったので、リリアを抱けないエイジのために(文字通り)一肌脱いで、「処理係」を買って出るという役どころの予定でした(いろいろ挟んだりしゃぶったりするシーンがあるはずだった)。


 あと、連載中に考えついたものの、うまく本編に入りきらなかったネタの一部は、このあとがきの後のデータ集に入れてあるので、興味がある人は見てみてください。


 さてさて。

 あまり裏話を続けるのもアレなので、ひとまずはこのくらいにしておきます。

 以下は今後の展望。



 本作はこれにて「第一部・完」となりますが、第二部の構想はあまり考えていません。要望があったり、ポイントが伸びたり、なんか賞を取ったりすれば、続きを書くかもしれません。いや、書きたい気持ちはあるのですが、ほかの作品にも着手せねばならないので、優先順位の問題というか。


 もし続きを書くのなら、(なんとなくですが)エピローグの二年後くらいがいいかなあ、と考えています。

 エイジとリリアはいくつかの冒険を経てバロワに戻ってきており、学校を作っているはずです。

 その学校には、ジールやそのきょうだいたち、ロウミィやマリィ、スレンの弟などが通っています。次の物語の中心になるのは、きっとそういった子供たちです。


 美しく成長したジールをはじめとする子供たちは、興味本位で、ある事件に首を突っ込みます。しかし、それが世界を揺るがす大事件の端緒であったことが判明。

 子供たちと世界を救うため、エイジとリリア、そして〈コピー&ペースト〉が再び大いなる力に立ち向かう。女神アルザードが予知した世界の危機とは!?——とか、そういう話かなーと、なんとなく考えています。


 二年後だと、リリアの呪いはいくつか解除(上書き)されてそうですが、まだ全部は消えていないと思うんですよね。中でも最も強烈な〈不妊の呪い〉は確実に残っているはず。

 となると、「子供」をテーマにしたら、エモい内容になるんじゃないかなと。

 二年後はザックとイリーナは結婚してそうですし、赤ん坊が生まれていてもおかしくはありません。育児に追われる二人を見て、リリアがどんな感情を抱くかと考えると、いろんなアイデアが浮かんできそうです。


 ……と、思いつきを並べてみましたが、実際に書いてみたら全然違う話になるかもしれません。

 エイジとリリアの次なる物語がどういう形になるかは、女神アルザードの神眼をもってしても、完全に見通すことはできません。作者にも分かりませんが、たぶん世界を救うのでしょう。


 では、長くなりましたが、今日はこんなところで。

 また次の作品でお会いしましょう。

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