雨がくれた出会い

07

今日は朝からどんより曇り空。


朝のニュースの天気予報で“傘を持っていくと安心”って言っていたのに、バタバタしていていつも通りにそのまま出て来てしまった。


傘を忘れたことに気付いたのは職場に着いてから。


だけどその日はラストまで職場を出ることもなく、天気のことなんてすっかり忘れていた。


「しまったなぁ。」


私は職場である調剤薬局の軒下で一人たたずんでいた。

いつから降りだしたのか、雨がシトシトと地面を濡らしている。


同僚は車通勤のため、早々に帰ってしまった。

駅までは徒歩5分。

走ればなんてことはない距離だ。

途中、屋根のあるところはない。


このまま待っていても雨は止みそうもない。

通り雨とは違うみたいだ。

走るしかないかな。


意を決して走り出そうと一歩踏み出したとき、


「こんばんは。」


突然声をかけられ、体が前につんのめった。

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