第43話 王国に危機が訪れそうです。

 新しいメイド服が完成してから一週間が経過した。

ご主人様、お嬢様方からも好評であり、メイドの皆んなも新しい制服や旧制服を楽しんでいた。

 

 そんな時、執事のロイクが書簡を手に御影の元にやって来た。


「旦那様、王宮よりお手紙が届いております。何やら、急を要するとの事でございます」


陛下からのお呼び出しは、まぁ、慣れたものだが、緊急というのは中々無い事だ。

御影は一抹の不安を覚えた。


 呼び出しを受けて御影は王宮へと足を向けた。

顔パスで中に入ると応接間に通された。


「待たせてしまったね」


国王陛下と公爵様が入ってきた。


「いえ、それより緊急の呼び出しと何があったのですか?」

「それなのだがな……」


陛下はいつになく真剣な面持ちだった。


「以前、お前さんを呼び出した時、秘密結社レギロンが動き出したと言ったのを覚えているか?」

「ええ、まあ、覚えていますけどそれが何か?」

「実は最近動きが活発化していてだな、ワシの暗殺計画まで挙がっているらしい」


国王陛下は冗談ぽく言ったが、目は笑っていなかった。

 

 秘密結社レギロン、高度な技術を有する暗殺者やはぐれ魔術師連中を囲っているろくでも無い反社会的組織である。

裏社会の犯罪の半分以上、この組織がかかわっっているという情報もある、かなり危険な組織なのである。


「それで、私に何をしろと?」

「これが、奴らの地下アジトもリストだ。何か思うことはないか?」


陛下が一枚の地図を御影に見せてきた。


「これは……」

「気付いたか?」

「ええ、まあ。これ、うちの店のすぐ近くですね」


レギロンのアジトの一つは御影の経営するメイドカフェの正面地下まで広がっていた。


「これは、お前さんとしても見て見ぬふりは出来ないのではないかね?」


陛下はニヤリと笑った。


「そう……ですね。これは一回痛い目を見てもらわないと困りますね」


御影は黒い笑みを浮かべた。


「制圧に協力してくれるかね?」

「分かりました。今回ばかりは、力を貸しましょう」

「ありがとう。感謝する」


制圧は三日後になるとの事で、御影は準備を開始した。


「新しい武器でも見に行くか」


この所、派手な戦いはしていなかったので、武器も古いものを使っていた。

しかし、陛下から新しい武器でも買ってこいと資金を渡されたので、王都の通りにある、武器屋を訪れた。


「いらっしゃい! おぉ、御影先生、お久しぶりっす!」

「あぁ、久しぶりだな」

「今日は何かお探しですか?」

「ちょっと武器を新調しようと思ってな」

「そういう事でしたらいいのが入ってますぜ」


店主が奥へと入っていった。


「こいつですぜ」

「これは……」


御影の前にはリボルバー式の拳銃が置かれた。


「こっちにも拳銃があったのか……」


御影は今まで、剣ばかりを使っていたのだ。


「ええ、最近ようやく、実用化されましたぜ」

「とりあえず銃弾を500発用意しときました。どうします?」

「買う!」


御影は即決した。


「ちょいと値は張りますよ?」

「いくらだ?」

「白金貨で六枚です」

「はいよ」


御影は冒険者カードを提示して、拳銃を購入した。


「毎度あり!」

「また、面白いもんが入ったらよろしく頼むよ」


そうして、御影は武器屋を後にした。

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