第36話 御影の誕生日限定メニューです。
翌日は三人での出勤日、ケーキとカレーのスケッチを見せると天音さんもメレーヌさんも賛成してくれる。
誕生日の特別メニュー『メイドさん特製お絵描きケーキ』なんてどうだろう。
小さなショートケーキに、バニラ、チョコレート、ストロベリー、抹茶、ソーダの5つから味を選べるアイス付き。大きな白いお皿にはお客様の名前とメイドからのチョコレートによる文字入れやお絵描きが出来るプレートのスケッチ。
「これ、とってもいいですわね。常連さんも喜びそう!」
「私も好きです。お絵描き苦手だけど頑張ってみたいです」
「昔はよくお菓子を作っておりましたわ。 ケーキ、手作りしてみましょうよ」
とすんなり決まった。
「御影さん、御屋敷でよく、スープカレーが出るとペロリと食べているイメージなのだけれど、それをメニューにするのは難しいですよね?」
「ご飯をハートの形で盛ったり、カレーの具材を可愛い形に切るのはいかがかしら?」
「人参やピーマンをハートや星の形にするのはどうですか?」
と、二人の提案でカレーもメニューに載せられそうな感じになっていた。
サラサラとカレーの絵を描いてみる。
「これならすごくいいわね」
「カレーってなんだかメイド喫茶っぽくないと思っていたのにすごく良さそうですね!」
「私もこれが出来上がるの楽しみになってきました」
御影さんが冒険者学校で非常勤講師をする日に三人で屋敷に集まり、屋敷の料理人にスープカレーの作り方を教わる。
「意外と大変でしたわね」
「私はなんとなく得意かもしれないです。メモも取りましたから家で練習してみます」
天音さんにはお菓子作り、メレーヌさんにはカレー作りをしてもらうことにした。
こっそり作っていたオリジナルカクテルも持って行く。
休みの日に天音さんのお宅で試食会をする。
「ケーキは自信ありますわ! 久々に作りましたが男性も食べやすくホイップの甘さを控えて見ましたの。その変わり甘い苺にしてみましたわ」
「二人で作ったカレーも長く煮込んだからトロトロで美味しいですよ!」
何度目かの試食会で、ようやっとどちらもすごく美味しくなった。
「オリジナルカクテル! いいじゃない! これなら飲みやすくて御影さんも好きそうですわ」
「これならメニューにもできそうですね」
前日は三人共出勤だったので、仕事の後みんなで残ってカレーを仕込む。
「明日、御影さんは喜んでくれますかね?」
「きっと大丈夫ですわ。私達は御影さんが大好きですもの」
「そうですね。だからこそ今日はゆっくり休んで明日笑顔で迎えましょう」
三人はそれぞれ家路に着く。
翌朝、御影さんと軽く挨拶をすると、御影さんはすぐ家を出ると言うので見届ける。
料理人の所に行って、お願いしていたその他のパーティ用の食事を受け取ってから急いで二人で家を出る。
お店に着くともう天音さんが準備をしていた。
「「おはようございます。遅くなってごめんなさい」」
「おはよう!今日も頑張りますわよ」
もう殆ど準備は出来ていたのでお皿に盛り付けていく。
『『完成!』』
「さあ、机に並べましょ」
「装飾できたのね! こちらも完成したわ」
三人で机に食事を並べて行く。
「後はオーナーが来るのを待つだけですね」
「そろそろ来ると思うわ、ロイクさんに頃合いを見計らってトラブルが起きている、と伝えてもらえるようにお願いしているから、きっと驚くでしょうね」
カーテンを閉め、お部屋を真っ暗にする。
御影さんに作ったオリジナルカクテルを美味しい、と飲んでくれるか不安に思いながらドアが空くのを待つ。
「おい、トラブルって何があった? それに今日の貸し切り聞いてないぞ」
御影さんが慌てて入ってきた。
クラリスさんが電気をつける。
合わせたように杏は声をかける。
「せーのっ」
『『『御影さん、ハッピーバースデー!!!』』』
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