第3話 森で女の子を拾いました。

 森を抜けようと歩いてると、魔物では無い気配を感知した。


「これは……人間だな」


その気配はかなり薄く、今にも消え入りそうであった。


「このままだとヤバいな」


そう思い、その気配の方へと歩みを進める。

しばらく歩くと木の根本にエルフ族と思われる女の子が横たわっていた。


「おい! 大丈夫か? しっかりしろ!」


息はあるが、凄く薄い。


『超回復』


御影は回復魔法を唱えた。

すると少女は目を覚ました。

良く見ると、緑色の髪を胸まで伸ばし、軽くウェーブがかり、青い瞳に特徴的な耳に真っ白な肌。凄く可愛い。


「大丈夫か?」

「あなたは?」

「俺は叢雲御影、Sランクの賢者だ。だいぶ、衰弱していたので、勝手ながら回復魔法をかけさせて貰った」

「それは、ありがとうございます。なんとお礼を言ったらいいやら」


彼女はぺこっと頭を下げた。


「いや、気にするな。それより何があった?」

「はい、私はエルフの里の長老の娘、クラリスと申します。儀式の生贄に捧げられそうになった所、配下の者たちが逃してくれたのですが、ここで力尽きてしまったのです」

「そんなことがあったのか。大変だったな。それで、これからのあてはあるのか?」

「いえ、何も。とりあえず、王都に行けば何とかなるのではと」

「じゃあ、クラリス、お前、俺に雇われる気は無いか?」


御影は微笑みと共に、右手を差し出した。


「え!? よろしいのですか? 是非お願いします!」


そう言ってクラリスは御影の手を握り返した。


「じゃあ、とりあえず王都に行こうか。俺も王様に報告があるしね」

「はい!」


『転移』

王都の景色を思い浮かべながら御影は転移魔法を唱えた。

クラリスは初めての転移魔法に驚いたようであった。


「い、今のは転移魔法では?」

「そうですよ。それがどうかしましたか?」

「転移魔法を使えるなんて、どれほどの魔力をお持ちなんです?」

「あぁ、そうか……」


転移魔法は一回に莫大な魔力を消費する為、普通の人間では使えないのだ。

そんな事はすっかり忘れていた。


「まぁ、たくさんかな」


御影はなんとなく誤魔化した。


王都、レオリアン、御影たちはへと王城の方へ歩いていた。


「ここが、王都なのですね」


クラリスは周りをキョロキョロと見ている。


「初めて来たのか?」

「はい! 初めてです」


子供のようにはしゃぐクラリスを見ているとなんだか微笑ましい。


「俺は今から、王城へ魔獣を討伐した報告と引退を宣言して来る。クラリスも一緒に来るか?」

「え、よろしいのですか?」

「普通は駄目だろうが、俺が今までどれほどこの国に貢献してきたと思っている? 文句は言われんだろさ」


御影はクラリスを連れて王城へと入った。

一応、警備の門番はいるのだが、もはや顔パスだ。


「お、御影先生じゃないですか。今日は女連れとは珍しい」


この王城に仕える者たちには何故か先生と呼ばれている。


「余計なこと言ってないで、仕事しろ!」

「へーい」


全く、大丈夫かね。ここの警備は。

王城に入ると従者により、応接間に通される。

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