第1話 異世界に転生しました。

 全身に衝撃が走った後、御影は意識を失った。

目覚めるとそこは、壁も天井も真っ白な部屋の中に居た。


「ここは……俺は死んだのか?」


そう呟いた時、目の前に、白髪頭で長い顎ひげを生やしたお爺さんが現れた。


「あなたは?」

「ワシは世界神、君の居た世界を含め、17の世界を管理する神じゃ」

「神……? という事は俺は死んだのか?」

「ああ、君は真衣を庇って死んだのだ」


ちなみにあの車の運転手は大量の酒を飲んで運転して居たらしい。

全く、迷惑極まりない話だ。


「それで、真衣ちゃんは無事なのか?」

「自分より他人の心配をするとは、君は変わっているのぉ。安心せい、真衣は無事じゃよ」


その言葉に御影は安堵した。

自分の死が無駄にならずに済んだのであるのがせめてもの救いだった。


「それでじゃな、君の死はあの世界では予定外じゃったのじゃ。だからここに来てもらった」

「予定外?」

「ああ、本来なら君はあそこで死ぬ運命では無かった、あそこで死ぬのは真衣の運命のはずじゃったのだよ」

「俺のせいで、運命が変わったのか?」

「そう言えるじゃろうね。そこでじゃ、君にはワシの管理する別の世界で生き返ってもらう」

「元の世界には生き返れないのですか?」

「ワシもそうしてやりたいのは山々なのじゃが、それは出来ないルールなのじゃよ」


世界神様は申し訳なさそうに目を伏せた。


「分かりました。神様の事情は分かりましたし、生き返れるだけでもありがたい話です」

「若いのに人間が出来ておるのぉ。話が早くて助かるわい」


神様は、笑う。


「では、ワシから少しばかり、君に力を授けよう。君の身体能力、魔力、その他諸々、全部底上げしておくぞ」


そう言って神様は、手のひらを御影の額の前に持っていき、呪文のようなものを唱えた。

何と言ったかは聞き取れなかったが、御影に力を授けてくれた。


「魔力という事は魔法が使える世界なのですか?」

「ああ、そうじゃよ。君ならすぐに魔法も使いこなせるじゃろう」


魔法と聞いて少し心を躍らせる御影である。


「一度、転生させたら、ワシはもう直接干渉は出来なくなるのじゃが、まぁ、アドバイスや話し相手くらいにはなってやるから、天界には来れるようにしておくぞよ」

「ありがとうございます」

「それと、少しだが、お金も与えよう。無一文じゃなにかと不便じゃろうに」


神様は布で出来た袋にお金を入れて渡してくれる。


「何から何までありがとうございます」

「いいんじゃよ、運命を変えてしまったのにはこちらの責任もあるからな。じゃあ、そろそろ転生してもらうとするかのぉ」

「分かりました。お願いします」


神様が手をかざすと御影の体は白い光に包まれ、異世界へと転生される。

そして次の瞬間、御影は草原の上で寝転んでいた。


「ここが……異世界なのか?」


とりあえず何もないので異世界に来たという実感はいまいち湧かない。

御影は起き上がって体を確認する。

特に異常は無いし、前よりも体が軽くなった気がする。

そして御影は自身のステータスを開いた。


「なんだこりゃ!?」


自分のステータスを見て思わず口に出してしまった。



《ステータス》

名前:叢雲御影

職業:賢者

レベル:95

ランク:不明

称号:転生者

体力:230000

魔力:375000

固有魔法:賢者の世界

魔法適性:水・火・風・土・光・闇


最初からこんなステータスとか意味が分からない。

普通、ゲームなんかじゃレベル1からのスタートだろうに。

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