第10話 花畑のエリア
耳に透き通るような高い音。
少しずつ光りを強めていく水晶は、まるで臨界に達したようにぱっと一際強く輝き、弾けて散らばり、彼女の体を包むように溶け込んでいった。
どうやらうまくいったらしい。
「……あ」
うっすらと目を開けた彼女は、手の中のクリスタルが消えていることに少し驚いているように見えた。広げた両手をにぎにぎと握ってから、こちらを見上げる。
「どうですか?」と彼女は問う。
「……どうなんでしょう」
「うまくいきましたか?」
「うまくはいったはずです。クリスタルの光りがレフィさんに入っていくように見えたので」
「そうですか……」
あまり実感がないのかもしれない。
彼女は自らの体を一通り見回して、変わったところがないかを確認する。見た目は何も変わらないとは言われたものの、何か変化があってもおかしくないと思う気持ちもわからないではない。角や羽根が生えていたら一大事だ。
「剣を振ってみたらどうですか?」
「あっ! そうでした!」
レフィは引き抜いた剣を縦に構え、控えめに脚を開いた。さきほどよりも安定しているように見える。
ぐ、と顔を引き締め、姿勢を低くする。瞳はまだ揺れている。
踏み込む。立てた剣がゆらりと沈んだ。
冷たい音が空を裂いた。
それはまだ初めの一歩に過ぎないのかもしれないけれど、拙くも、風切り音に違いなかった。
振り切った彼女は、まん丸にした目を手元の剣からこちらに向けた。俺以上に驚いているようだ。まだ一つ目のクリスタル。それでも初めてのマナの影響。そしてレフィの想いの強さ。いろいろな要素から見積もった俺の予想を、彼女の一振りは上回った。正直言って、そこまで違いは出ないだろうと高をくくっていた。
「ふわって、しました」
「……ふわ?」
「ふわって、したんです」
聞き返す俺に、レフィは呆けたように同じ言葉を繰り返した。
どうやら、ふわっとしたらしい。まったくわからん。
「こう、ふわーって、なったんです。剣が軽かったんです。一瞬だけ。こんなに重いのに。……すごいです。すごい、すごいです!」
「そうですね、すごいですね」
「すごいですーっ!!」
遅れてきた喜びに、彼女は剣を掲げてくるくると回り始める。
ときどきよろけながら、それでも抑えきれない嬉しさに口元を綻ばせて、彼女は舞う。その手に持っているのが人形や可愛いペットではなく、鋭利な剣であるのがなんとも物騒ではあるけれど、漏れ出す感情を体全体で表現するのは、なんとも。
端的にいって、可愛いなと、俺は思うわけだ。
「こう、構えてー! ひゅっ、って……、あ、あれ?」
「油断しちゃダメですよレフィさん。もうできると思い込んじゃだめです。さっきの一振りを思い出してください。強く求めて、願うんです」
「そ、そっか、そうですね。ふ、ふー……」
慌てて息を吐き、彼女はもう一度剣を振るう。
確かに様になってきてはいるけれど、やはり最初の一振りのようは鋭さはなかった。かなり精神状態に左右されるらしい。
「で、で、できなくなっちゃいました……、どうすればあ……」
「落ち着いてください、悪くはないです」
涙目のレフィが助けを求める。
喜んだり落ち込んだりとなんとも忙しい。
「最初は出来るかどうかわからなかったので、レフィさんも心の底から『上手に振りたい! 成功させたい!』と思えたんでしょうね。気持ちの問題なので、少しずつ訓練していけばいいと思います。もっとクリスタルを手に入れれば安定するようにもなるでしょうし」
「クリスタル、たくさん欲しいです! 次はどこですか!?」
「焦りすぎです。まだしばらくはここですよ」
「ここ? ですか?」
レフィは目をぱちくりさせながら辺りを見回した。
ずいぶんと青みの増した花畑には、今もまだ、たくさんの光の羽が舞っている。羽ばたくたびに振りまく光りの粉は、藍色に染まる花弁をほんの一瞬の明かりで照らし、すぐに消えていく。そこらじゅうで明滅する色とりどりの花びらと、音もなく消えていく光の粒がなんとも儚げで見入ってしまう。妖精はまだ眠らないのだろうか。そもそも、眠るのだろうか。
「……まだ、しばらくは」と俺は口を開く。
「妖精さんを何匹倒しても、クリスタルは出ます」
「ほんとですか!?」
「出ますよ。大きさ自体はだんだん小さくなっていくはずですが、クリスタルが出なくなるということはないです」
「そ、それなら、だったら……!」
「日没までには宿に戻るっていいましたよね?」
「ああ、う……」
ふんす、と鼻息を荒くしたレフィは、俺の言葉に身を縮めた。夢中になっていて気づかないのも仕方がないけれど、妖精の光が映えるほどには、もうだいぶいい時間である。
剣を構えたまま振り返ったその瞳がなんとも弱弱しく、胸に迫る。新しい力を試したくてうずうずしているのはわかるけれど、時間が時間だ。そんな顔をされたところで俺は負けない。そんな、まるで聞き分けのよい子が親に見せるほんのわずかな甘えと、その葛藤をせずようもなく訴えるような上目遣いに、あまりに撫で心地のよさそうな無防備でふわふわな頭を対価とばかりにこちらに向けられていようとも、俺が情や欲にほだされて狩りの継続を許してしまうなんてことは絶対にありえないし、街への帰還をガンとして指示することができると本当に言い切れますかいえ言えません。
その顔で、その顔は、卑怯だ。
「…………帰りますよ」
「はい……」
俺が歯の間から発した言葉に、レフィは仕方なく頷いた。
* * *
「そういえば、そうです」
宵闇の涼しさが肌に心地いい。
これが寒さに変わる前に、と街へ歩く道すがら、萎れていたレフィが不意に声を上げた。
「あの線はなんだったんですか?」
「せん?」
「わたしがジャンプした、あの線です」
「……ああ」
そういえば、確かにそうだった。
帰りに試そうと思っていたのをすっかり忘れていた。
「あれはですね、跳躍力がどれくらい変わるのかっていうのを実感してもらいたかったんですよ」
「ちょーやくりょくです?」
「そうです。クリスタルを手に入れて、マナが動きを助けてくれるようになるわけですから、同じ位置からどれくらい遠くまでジャンプできるようになるのかを試してみて欲しかったんですよね」
「なるほど、そういうことだったんですか」
「剣の振りで実感できたみたいなので、必要なくなりましたけどね」
俺の言葉に「うむむ」と考え込んだレフィは、少し離れるとステップを踏むように軽く地面を弾いて見せた。
彼女なりの確認だろうか。やはりまだ自分自身の変化が気になって仕方がないようだ。
まあ、なによりも強くなることを切望しているのだから、それも頷ける。
「ジャンプ、してみたらどうですか?」
「……っ」
落ち着きのない彼女に声をかけると、まるで何事もなかったかのように、しとやかに歩き始めた。
ツンと他所を向いた横顔がその内心を雄弁に物語っている。
「わ、わたしがまるでジャンプしたがっているみたいな言い方は、やめてほしいです」
「違うんですか?」
「違いますよう」
「気にならないんですか? どれくらい跳べるか」
「オトナの女性は道端でそんなはしたないことしません、もん」
もん。
「誰も見てないですよ?」
「いいですもん」
「いや別に恥ずかしいことじゃないですよ? 戦士がその日の調子なんかを確認するのも、仕事の準備としては普通の話だと思いますし」
「そ、そんな言葉には乗らないです、もん」
「素直に跳んでみたらいいじゃないですかもん」
「なんですかそのバカみたいなしゃべり方」
「こいつ……」
睨んだ先のレフィは両手を後ろで組み、ツンと鼻を上げたまま大股に歩いてみせる。
オトナの女性というにはなんとも無邪気すぎる様子に、俺も小さく息を吐く。
明日の朝は、早くなりそうだ。
「ほんとうに、ちょっと小さくなった気がします」
「そうですね」
予想通りというかまだ肌寒い朝に叩き起こされた俺は、レフィの準備万端すぎる格好を見て噴き出し、真っ赤な顔で数発殴られたのち、のっそりと支度を始めた。自分の準備を終えるまでに、「はやく」だの「遅い」だのとオトナなオジョウサマのオコゴトを何度聞いたかもわからない。
ほとんどが左の耳から右に抜けていったので、そもそも何を言われたのかもよく理解してはいない。もしかしたら受け流した無数の小言が宿の壁に突き刺さっているかもしれないけれど、もちろん弁償する気はない。請求はレフィに頼む。
「これって、どうして小さくなるんです?」
「原理を聞かれましても……、協会あたりで聞いてみたほうがいいと思いますよ?」
花畑に到着し、昨日ほどの苦戦もなく二匹目を倒したレフィは、一回り小さなクリスタルを抱えて俺を見上げた。太陽の下で見るソレは無色透明そのもので、ちゃんと目を凝らさなければ見落としてしまうかもしれない程だ。
「協会で教えてくれるんです? ニトさんもどうせ知ってるんじゃないですか?」
「どうせってなんですか」
「だって、なんだかニトさん、たいていのことは知ってそうじゃないですか」
「大抵って……、アバウトすぎませんか?」
「たいていはたいていですよ。なんというか、たいてい知ってそうなかんじです。特にこういうことは」
俺は興味津々な瞳から逃れて、頭をかく。
クリスタルが小さくなる理由に関しては協会でも意見が分かれていたというか、いくつかの説があった気がする。ずっと前にアライクンさんがそう言っていたのを覚えている。
「……僕には予想でしか言えないですよ?」と俺はレフィに向き直る。
「それでいいです」
「……協会は魔物が棲んでいる場所を何箇所にも区切って、それぞれエリアって呼んでるんですよね」
「えりあ、ですか?」
「そうです。この花畑もエリアの一つで、エリアで魔物を一定数倒すことができれば協会で認定をしてもらえるんですよ。レフィさんはまだ0エリアですが、ここでの狩りを終えれば花畑エリアは認定をもらえて、それで1エリアになります。それなりの冒険者となれば10エリア以上は認定されているでしょうね。……レフィさんも仕事を探すときに、街の掲示板で『ギルドの加入者募集!』みたいなものを見た覚えはないですか?」
「え、えっと、メンバー募集の張り紙なら見た気がします」
「そこの条件に、『何エリア以上の者』とか書いてなかったですか?」
「あっ! そういえばそんなのが書いてありました!!」
「それです。エリア数も適正と並んで、そのヒトの強さを示すための大まかな基準になってるんですよ」
「はー……、なるほど」
いたく感心した様子の彼女に、俺は続ける。
「で、気になるのがこの、エリアって表現なんですよね」
「えりあがどうしたんです?」
「……僕がいま、何の話をしようとしているか覚えてますか?」
「うん? エリアの話ですよね?」
「クリスタルがどうして小さくなるかって話です」
「あ、そうでした」
「おそらくですけど、レフィさんとこの場所、このエリアのマナの結びつきによって、クリスタルが発生しているんだと思います」
「この場所? 妖精さんじゃなくてです?」
「妖精さんはあくまで『この場所』で生まれた魔物であって、エリアの一部なんじゃないかと思うんですよ。少なくとも、協会はそう考えているんじゃないかと僕は思います。で、結びつきが何もない状態だからこそ、まっさらな状態での最初の一回はマナと大きく繋がりますが、結びつきが完全に近づくほどその余白がなくなっていくんじゃないか、と。……すいません、わかりにくいですかね?」
俺が苦い笑みを浮かべると、レフィはふるふると首を振った。
「うーん、いえ、なんとなくわかった、気がします。それで、出てくるクリスタルがだんだん小さくなるっていうことなんですね」
「あくまで一説ですけどね。だいぶ前に聞いた話ですし。たぶん協会の本部とかに行けば今も研究員が頭を捻ってるんじゃないですかね」
「なるほどです」
俺は組んだ腕を緩める。
ふと視界の端のレフィがこちらに笑みを向けているのがわかった。
「……なんですか」と俺は訝しむ。
「ふふ、いえ、なんでもないです」
「なんでもないのに笑ったんですか? 変態ですねレフィさんは」
「そんなムッとしなくたっていいじゃないですか。ちょっと思ったことがあるだけですよ」
「ちょっと、何を思ったんですか?」
「だから、なんでもないです。ふふふ」
くすぐったい笑い声を残して、レフィはクリスタルを胸元に当て、目を閉じた。
二つ目も迷わず自分自身に使うということは、このエリアのマナは全てそうするつもりなのかもしれない。“あの剣技”に執着していたはずの彼女が何も言わないことに違和感を覚えながらも、なによりそれを指摘しようとしない俺自身にもまた、頭が痛くなる。
意味もなく笑われた理不尽さと、ないまぜになった心地悪さを隠すように、俺は手ごろな日向に座り込んで力を抜いた。
姉と弟のように見えた。
その二人組みが落ち着かない様子で歩いてきたのは、レフィがおそらく五匹目の妖精を仕留めた頃だった。
頭上から垂れた大きな黄土色の耳からして、二人ともおそらくはクーシー種だろうか。それなりに歳の差はあるようだけれど、二人とも似たような装備をしているのでどちらが司令で戦士なのかよくわからない。なんなら二人とも戦士の可能性もある。
レフィも気づいたのか一瞬こちらに目を向けたけれど、思い出したように慌ててクリスタルを拾い上げた。
俺も体に緊張を走らせてはいたけれど、二人組みはこちらを一瞥だけすると、お互いの邪魔にならないであろう場所を探すように歩き始めた。彼らもおそらくは活動を始めたばかりなのだろう。こんな平和な場所にも関わらず表情が固い。なんにせよギルドの縄張り争いよろしくケンカを吹っかけてきたりしないのは正直ありがたい。そんなことになれば俺たちは退散するより他にない。まあ、こんな場所で縄張りがどうのなんて言い出すギルドがあったら程度が知れるというものだが。
レフィの「大丈夫なんですか?」なんて視線に、軽く眉を上げて返すと、彼女もあまり気にしない様子で目の前の標的に向き直った。
うちの戦士にはどうぞ目一杯、エリアの制覇に励んでいただければと思う。
「ち、ちょっと、ニトさんニトさん」
「んお?」
レフィのギクシャクとしたなんとも前衛的な狩りは、慣れとクリスタルの獲得によって急速に安定感を増し、つまるところ大した事件が起こるはずもない単純作業を眺め続けるには、程よい温度の日光はあまりにも残酷だった。日向ぼっこと花畑の甘い香りに誘われていつのまにか舟をこいでいた俺は、すぐ近くに聴こえたレフィの声にはっと背筋を伸ばした。
「……ニトさん、いま寝てましたよね?」
「……睡眠とは何かという哲学的な――――」
「まあそれはどうでもいいんですけど、アレ、アレ見てくださいよ」
俺は彼女のひそひそ声に促されるまま目を向ける。
彼女の視線の先にいたのは先ほど花畑にきた二人組みだった。遠くてあまり見えないけれど、ふたりとも小ぶりな短剣を使っているように見える。次々と妖精をクリスタルに変えていく様子を見る限り、レフィよりも手際が良さそうだ。得物の扱いにも慣れているのかもしれない。
「……アレが」と俺は口を開く。
「どうしたんですか?」
「どうしたじゃないですよ!」
レフィは憤慨した様子で、俺のすぐ隣にしゃがみこんだ。
その眉毛の寄り具合からして、かなりご不満と見える。
「あんなに簡単にヤっつけてるじゃないですか!?」
「そりゃあ、あれだけ軽い武器なら簡単でしょうね。僕の持ってるナイフでも同じようにヤれると思いますよ」
「なっ……! なんでそれを最初に言ってくれないんですか!? こんなに剣をぶんぶんしてるわたしが馬鹿みたいじゃないですか!」
「や、レフィさんは割りと馬鹿ですけど」
「ッ!? ~~~~~っ!!」
最近の立派な女性は殴る蹴るなどの暴行をするらしい。なんともご立派な肩パンである。おしとやかなこと限りない。
それにしても声を潜めながら叫ぶとは、なかなかに芸達者だなあと感心してしまう。一体どこから声が出ているのだろうか。
「なんで! 言って! くれなかったんですかっ!?」
「い、どっちにしろ痛い。どっちにしろこらからも剣を痛い、使うつもりなんだからいいじゃないですか痛いです」
「それは、そうですけど……! それはそうですケド!!」
「とりあえず痛いので肩パンだけは、僕ほんとに生まれ付き肩パンだけはダメなのであの」
「なんですかそれは!? 絶対嘘じゃないですかっ!!」
「たとえ無数の刃物で刺されても構わないから、肩パンだけはされるなと言われて育てられたので」
「嘘です! そんな弱点ありえません!」
「ほ、ほんとですって! 僕、お湯に浸かるときは絶対に肩から入ったりしないですから」
「当たり前です! どんなダイナミックな入り方ですか!?」
「これだけはほんとに信じてください! 僕は湯船に向かってタックルしたりはしないです!」
「わ、かっ、て、ま、すうっ!!」
「誓っても! しません!!」
「うがーーーーーーーーーーっ!!」
噛み付かんばかりの勢いを、俺はどうどうと抑える。
真っ赤になってムキになっているところを見ると、レフィはどうやら自分のやり方が間違いだったと思っているらしい。まあ確かに剣で妖精を倒すというのはロウソクに火を付けるために火竜種を連れてくるようなものかもかもしれない。けれど、火力の扱いに慣れておかなければキャンプファイヤーだって消し炭にしてしまうかもしれない。レフィがどうしても剣を使いたいというのであれば、今後のことを思えば、その長さや重さを知っておくに越したことはないのだ。
「大丈夫、大丈夫です。別におかしなことをしてるわけじゃないですから!」
「で、でも! ぜったいにあっちの方が“それっぽい”じゃないですか!」
「別の一組が偶然違う武器を使ってたってだけじゃないですか。次にまた誰か別のパーティがきたとして、その人たちが大きな剣を使ってたらどうするんですか」
「そ、それは……」
「レフィさんはナイフや短剣ではなく、その剣で戦いたいのでしょう? だからこれでいいんですよ。間違ってないんです。なにを恥ずかしがることがありますか? 僕の見ている限りもうだいぶ慣れてきてはいるんですから、堂々としてればいいんです! どうしてもと言うならナイフを貸しますけど」
「……見ている限りって、……寝てたじゃないですか」
「眠かったら寝ます!」
「そこで開き直らないでくださいよ!」
「わかりました、ちゃんと見てますから。上達したところを見せてください」
「……ほんとに、お願いしますよ?」
まだぶつぶつと文句をいい、監視するようにチラチラとこちらを振り返りながらも、レフィはまた花畑へと入っていった。
その姿勢が低くなる。
間を確かめるような一呼吸のあと、剣の重さに任せた力みのない一振りが放たれる。二度、三度と寸でのところでかわされるが、ついに四度目の横なぎの一線がその羽を切り裂いた。まだダメージもない万全な妖精であろうと、受け流すことが困難になるくらいにレフィの成長は順調のようだ。
技術の向上もさることながら、目標に向かうひたむきさと集中力がある。
ああ、頼もしい限りだ。
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