第17話 誕生日~吐露2
テレビでは、国王のお言葉に関するニュースがひっきりなしに流れた。その夜、尊人の部屋で、健斗、未来、麗良と4人で庶民的な誕生日パーティーを開いていた。
「カンパーイ!」
「おめでとう!」
缶ビールをぶつけ合って乾杯した。
「ああ、ここは自由ねえ。」
麗良がもう酔ったのか、うっとりした様子で言った。
「女性一人で、身の危険を感じないの?」
未来が言うと、
「夫と一緒だから、大丈夫。っていうのは建前よねえ。みんな、私になんて興味ないじゃないのー。あははは。」
麗良は笑いながら、隣に座っている尊人に寄りかかった。尊人はそれを見てにこっと笑った。向かい側に座っている健斗と未来は、それを見て目を反らした。仲睦まじいカップルに見える。そして、麗良は君子に似ている。尊人は、男が好きなわけではないと言っていた。それらを悶々と考えてしまう二人。その二人を見て、麗良はにんまりした。
「ほんとに面白いわねえ、あなたたち。」
麗良がそう言うと、未来と健斗はちらっと麗良を見たが、何も言わなかった。麗良は、その話はそこまで、とばかりに話を替えた。
「ね、今度は何を仕掛けるの?」
すると、尊人は楽しそうに、
「そうだなあ。もうすぐ中東へ公務で出かけるんだよね。そこで・・・。」
と言って、言葉を切った。楽しそうに考えている。
「バックレるか?」
健斗がそう言って、缶ビールを差し出し、「イエーイ!」と声を揃えて4人は再び乾杯をした。それからしばらく、ワイワイと楽しく酒盛りした後、
「それじゃあ、邪魔者の私は抜けるわね。」
と言って、麗良が先に自分の部屋へ戻って行った。この家では、尊人が移動する時には必ず誰かが付いているのだが、麗良は自由に移動している。国王の血筋を持つものは完全に守られるが、王妃はいつでも取り換えることができるので、守られないのである。
麗良がいなくなって、尊人の隣が空いた。すかさず健斗がそこへ座る。
「あ、お前。そういう時は早いよなあ。」
未来がいつものように文句を言う。そして、健斗は早速、尊人の方へ腕を伸ばし、肩を抱いた。
「前にいれば、顔が見えるもんね。」
未来はそう言って、テーブルに肘をついた。3人の顔がすごく近くなった。そして、3人ともぷっと噴き出して、大笑いした。
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