第37話

 2人は、バスケットボールを手に持っていた。


「大地!これのルールを教えろ!」


 青い長髪を束ねた海流は、大地に向かって大声で怒鳴った。


「呼び捨てにするな、『先生』と呼べ!」


 大地が怒鳴り返すと、ツンツン尖った金髪の空蓮はもう一度、豪速球で大地にボールを投げつけた。


 大地がひらりと避けたので、ボールは轟音を立てて壁に当たった。


「俺はルールを知らん」


 壁には、大きな穴が開いていた。


「教えないとガッコウ辞めさせないからな!」


 それを聞いたバスケ部出身の凌太が、二人に声をかけた。


「教えてやろうか?それのルール」


 二人は目を輝かせた。


「教えて『リョータ』!」


「『凌太様』だ!」


 凌太はボールを受け取ると、鮮やかなフォームでダンクシュートを決めた。


「…すげえ…!」


 二人の目がきらきらと、輝いた。



「『凌太様』と呼べば教えてやる!」



 二人の呼び方は変わらなかったが、凌太が教えると彼らはすぐに、バスケットのルールを習得した。



「あの子たち、もう凌太に懐いてる!」



 4人でバスケをしている姿は、見ているこちらまでワクワクして来る。




「…みんな楽しそう!」

 



 カッコ良過ぎて思わず、

 未来の旦那様を、目で追ってしまう。





 もし、大地が同じクラスだったら、




 間違い無く人気者だっただろうな。



 

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