第16話

「集まる場所ならあるけど…」


 りっちゃんと凌太と私は、ぽかんとしながら大地を見つめた。


「場所って?」


「どこ…?」


「…騒々しくて、落ち着かない場所だけどな」


「マジ…?」


「それでも集まれるならいいよ!ありがとう、大地!」


 凌太とりっちゃんは喜んだ。


「…結月にもう一度連絡してみる」


 私が言うと、りっちゃんは心配そうに聞いてきた。


「あ、そだ、ユヅからまだ返事来ないの?」


「…うん」


 空が夕陽に染まり、

 そろそろ日が暮れる。


 鳥居と神社の中間にいた私達の元に、梅ばあちゃんが神社の方から、叫び声をあげながらこちらに駆けて来る。


 大地は梅を見ると、驚いて叫んだ。


「げ!梅だ!!」


 りっちゃんと凌太は顔を見合わせた。


「なんか大地に怒ってるみたいだな、あのばあさん」


「暗くなってきたし、帰ろうか私達」


「ああ」


 私は二人にお礼を言った。


「来てくれてありがとう」


「さくらの誕生会、絶対実現させるからね!」


 私は頷いた。


「会えて嬉しかった!りっちゃん、凌太」


「私も!」


「またな。大地も」


 大地は頷き、微笑んだ。


「またな」


「明後日、楽しみにしてるね!」


「俺も!」


「じゃあね、さくら!」



 私は泣きそうになりながら、二人に手を振った。



 二人は笑ってこちらに手を振り、帰って行った。



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る