咲く石

翡翠石を、叩き、割り、砕き。

り、潰す。


時には粗く、時には細かく。

石の個性に合わせて。なるべく優しく。


粗いと、その石、本来の色で色濃く。

細かいと、色が薄くなる。


水に沈めて、粗さを振り分ける。

堅く沈んでゆくのは、石なのか、自分の心なのか。

翡翠の砂粒たちが、笑い、踊る。


絵に使うから、岩絵具を創っているのか、

鬱憤を発散する為に、噛みつき、叩き割っているだけなのか。


理由は、自分でも解らない。

解る必要も、意味も無い。


自分が、自分の心の模様や、流れや、動きを、

全て理解している訳ではない。


いや、むしろ……


心の中なんて、絵皿の表面に浮かぶ、

上澄みみたいなモノなのだろう。

きっと。

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