母よ


深緑に囲まれ、


蒼空や曇天や朝霧や深雪に


包まれた古民家で


母よ


なにゆえに、慈愛に満ちた目でわたしを見るのか



暗闇に囲まれ、


星辰や満月や夜霧や深雪に


包まれた古民家で


なにゆえに、泰然と佇まいを正し、遠くを見るのか



母よ


母よ


母よ



行かないで


母よ


母よ


母よ


わたしの声を聞いて戻ってきておくれ


母よ


母よ


母よ


ただの一度でいい。


わたしの声を聞いておくれ。


耳聞こえぬ母よ

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る