コントローラーを包み込む

ざいりょー

【第1話】ゲーマーになるには仲間が必要なのだろう

 俺はゲーマーなのか。それが知りたかった・・・。


 俺は幼稚園からのゲーマーだ。年中の頃に3DSを買ってもらい、一緒に買ってもらった「スーパーマリオ3Dランド」というゲームにハマり、その後は「ルイージマンション2 → マリオカート7 → ゼルダの伝説 ムジュラの仮面3D」というように、ゲームを遊び倒していった。


 そこで、友達に自分はゲーマーだと自己紹介をしてしまってから、俺の印象はゲーマーという事と、メガネという二つの印象に絞られてしまったらしい。得意なゲームはアクションゲーム。だけれど、周りにはアクションゲームを自分の金で買って、一緒に楽しんでくれる仲間が一人もいない。その上、ネットで見たことをそのまま述べて、いかにも自分がゲーマーだと主張してくる友人もいる。


 そんなゲーム仲間が欲しいわけではない!俺は、正真正銘のゲーマーと話がしたいんだ!


 最近は、みんなフォートナイトという無料ゲームにどっぷり浸かってしまっている。確かに、無料だし、楽しい。けど、俺の専門はアクションゲームだ。オンライン上の誰かと対戦して、スッキリしたいわけでもない。というか、下手だから逆にストレスが溜まる。


 そう、そこが前からつっかかっている。もし自分がフォートナイトというゲームを猛練習して上手くなったら、本当にフォートナイトを楽しんでいるゲーマーになっているのか。だが、それでは自分が本当に遊びたいゲームではないのに無理やり遊んでいるということになるため、本気で楽しめやしない。


 だったら、様々なジャンルのゲームを遊んでいればゲーマーと言えるのだろうか。YouTuberとして人気を博しているホラーメインのゲーマーの「ガッチマン」さんは、ホラーゲームだけを遊んできたわけではなく、幼少期から様々な機種のゲームを遊び倒していたという。だから、ゲームに詳しいわけだ。スマブラシリーズなどを手掛けている「桜井 政博」さんも、幼い頃から様々なゲームを遊び倒していたという。


 俺もできればプレステ4を買って、バイオハザードやフォールアウト、バトルフィールド、デスストランディング、メタルギアソリッドなどを遊びたい。だが、金が無いのだ。お年玉で一万五千円、ゲームブログで月数百円、家の手伝いをして十円、クリスマスプレゼントはサンタクロースがイタズラしてもらえないかもしれないし・・・。そう考えると、ゲーム機を買うほどの金をためる余裕がない。ゲームだって、毎月のように購入する。


 早く高校生になってバイトをしたい。そんな気持ちがこみあげてくるのは何度もあった。


 だけれど、金が手に入ってゲーム機を買って、ゲームソフトをじゃんじゃん買っても、本当にゲームを楽しめているのだろうか。本当に俺は、その時にゲーマーだと言い張れるほどのゲーマーになっているのだろうか。結局、考えた末に辿り着くのは、ゲーム仲間がいないという所だった。


 自分の周りには、ゲームを語り合える友人はいない。自ら声をかけたって、変人と思われる。だったら、俺と同じような考えを持った人とネットでゲーマー仲間になれるのではないだろうか。そう考え始めて、今ブログを一年以上運営し、Twitterもやっている。だが、孤独感が完全に消え去ることは、一度もなかった。


 ほんの数秒、ブログに寄せられたコメントに目を通すときに、薄い霧のような気持ちが、孤独感を和ませてくれる。そして、その孤独感から解放される時間を伸ばしたくて、何度も読み返す。けれど、コメントの文章は一文字も変化しない。また、霧が晴れてしまった。孤独という文字が、くっきりと浮かび上がってくる。


 一人でじっくり遊びたい、霧が邪魔、と感じる人もいるのかもしれない。だが、俺にとって、霧とは切っても切り離せない重要な物。孤独から気持ちを遠ざけ、少しだけ満足できる。


 そんな中で、デスストランディングというゲームは孤独感から救ってくれる最高のゲームだと思った。直接的に関わることはできないが、自分の設置した物が評価され、いいねを送ってくれる。誰かの役に立っているということが、いいねで実感できる。そして、を楽しんでいる人がそこにいる。


 ゲーム自体を遊ぶことで孤独感から解放されることができると知った俺は、また、ゲーマーと名乗れるようになるため、コントローラーを手で包み込むのだった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

コントローラーを包み込む ざいりょー @Zairyoo

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ