RISE JAPAN

M柴

第1話 終わりの始まり

今日は8月15日、終戦記念日だ


皆が戦没者追悼の意を込めて黙祷を捧げていた頃、それは起きた


アナウンス「それでは、追悼の意を込めて黙祷をしましょう」


ウーーーーウウウウー


サイレンが日本中に鳴り響く


パチッ、それとともに目の前に見えている景色を遮断し全てを無にした


心を無心にしているとサイレンがずっと鳴っていた、それに周りがやけに騒がしくなってきた


男1「なんだ、何が起きてるんだ??」


男2「分からない、正体不明の何かが来てるらしい!」


教官「うじ虫ども!うろたえるな、これは演習ではない!実戦だ!!パイロットは至急出撃せよ!!歩兵は持ち場にて待機、対空兵は目標に照準をあわせてろ!!いいか!行けっ!!」


8月15日正午、日本は黙祷を捧げていた頃突如中国から攻撃を受けた


あまりにも突発的な事態に日本政府は対応できず僅か数時間の後に壊滅に追いやられた


頼みの綱にしていたアメリカは日本を放棄、日本は己たちの力で対応をする事を強いられたのだ


戦闘経験のない日本は瞬く間に降伏を強いられるところまで追いやられたのだ




ダンッ、ダダダダンッ!!


男1「撃て!撃ちつくせ、銃身が溶けようが撃つんだ!」


男2「弾が足りません、だめです!やつが、そこまできて、…う、うわああああああああ!たす、け……ブツ」


男1「おい!どうした、応答せよ!!くそ、何が起きてやがる!アメリカは何してるんだ!」


8月15日午後2時、某樹海


教官「敵の輸送機を優先的に狙え!奴らの鉄人形共を落とさせるな!!奴らがいなきゃこっちにもチャンスがある!一匹たりとも見逃すな!」


兵士「サー、イエッサー!」


教官「ここからは部隊を分けて対応するいいな!私と加味二等、仁三等は東にいくぞ。ダン少佐とリン上等は西にいけ!いいな!いくぞ」


………………


はっはっはっ、はっはっはっはっはっ


リン「少佐、もう、は、走れません。だめ、です」


ダン「何を言ってる、この糞虫が!!走れ、ここにいたら死ぬぞ糞虫が!!」


リン「し、しかし!」


ダン少佐はいつもの如くそう言って僕を叱咤した


戦況はどんどん最悪な状況に進んでいった


リン「この戦い、どうなるんでしょうか。やっぱりアメリカが来ないと負ける、のでしょうか」


ダン「アメリカは来んさ、おそらく日本は捨てられた。ここは生き延びることだけ考えんか!この糞虫が!!」


リン「さ、サーイエッサー!」


ダン少佐が言う通りアメリカが日本を見捨てたと言う悪報をしばらくして受けた


最悪だ、こんなことって!


バン!近いところで一発のでかい銃声が鳴り響いた


リン「まさか、もしかして!」


少し前をいく少佐に目をやると片足を無くし、血を垂れ流した少佐が寝そべっていた


リン「少佐!ダン少佐!!」


僕は少佐の元にすぐさま駆け寄った


リン「少佐しっかり!少佐!!」


ダン「お、おい、糞虫…俺をお、いて逃げろ。こ、ここにいたら…しぬ、ぞ。糞虫が」


リン「できません!僕は幼き頃から親に捨てられ、クソみたいに生きてきました、こんな糞虫、死んでも悲しむものはおりません!」


あんなに厳しく、厳格で、怖い少佐が憎たらしい少佐が今はこんなにも優しく見えた


ダン「悲しむ物なら、こ、こにいるさ」


そう言うと少佐は震える手で一枚の写真を取り出した


その写真には、元気な頃の母と隣で僕を抱えて笑っている少佐がいた


ダン「私を糞虫と呼べ、糞虫。私は妻と子供を捨て、仕事に生きてきた。だから、わた、しを糞虫と呼べ、息子よ」


リン「糞虫であります!糞虫のクソおやじであります!」


ふっ、と一瞬微笑むと親父は静かに眠った


リン「少佐!!お父さん!!!!!」


父のドックタグを握りしめたまま、ぼくはしばらくそこにいた


三十分たった頃ぐらいだろうか、仲間がそこに来て泣きついている僕とそこに横たわる父を見つけ急いで駆け寄ってきた


教官「なにがあった!いや、今はそれどころではない、日本は降伏をする。我々は生き延び再起を図るのだ!すぐにこの領域から離脱する!」


僕は仲間に手伝ってもらい父を担ぎながら離脱便に向かった


領域を離脱しながら僕たちは窓の外を眺めていた


男1「くそ!チャイナども!いつか覚えていろよ!」


教官「うじ虫ども、この日のことを忘れるな!その思いをいつかぶつけるその時まで生き続けろ!」


安らかな表情をして眠る父を眺め、今まで探していた父が近くにいたこと、その父が目の前で死んだこと


そして、日本が攻められ降伏したこと


これからどんなことが起きるのか想像しただけでも寒気がした


輸送機に揺られながらこの悪夢を忘れようと目を閉じた


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る